世は争乱…
我は室町幕府、第9代征夷大将軍・足利義尚(あしかがよしひさ)である。
文亀2年秋…
場所は周防山口、大内義興(おおうちよしおき)の館…
ここには前将軍、足利義尹(あしかがよしただ)が匿われている。
義興「御所様(義興の言う御所様は義尹)、京では御弟君の義忠(ぎちゅう)様が細川政元(ほそかわまさもと)の手によって処刑されたと報せが入りました。」
義尹「…義忠が…処刑を命じたのは義澄(よしずみ)だな…おのれ!」
義興「京では政元と義澄は仲が良くないとの噂。いずれ割れる時が来ましょう。その時が上洛の機会ですぞ!」
義尹「うむ、その時こそ政元を斬る時ぞ。」
義興「紀伊の畠山尚順(はたけやまひさのぶ)殿とも密に連絡を取っておきましょう。それと…阿波とも…」
義尹「頼むぞ。」
政元と義澄は、金龍寺で義澄が引きこもった出来事の後も相変わらず仲があまり良くなかった。
そして政元は相変わらず館を抜け出し修験道の修行に出かけていたのだ。
政元は木から飛び降りていた。
そこへ政元の家臣であり、衆道の相手でもある薬師寺元一(やくしじもとかず)が現れた。
元一「殿、木が飛び降りるなど、何をなされておるのです?」
政元「おぉ元一か、飛ぶ稽古をしておるのだ。」
元一「飛ぶ?空をですか?」
政元「そうだ、天狗は空を自由に飛ぶと言う。わしも飛べるようになりたいのだ。ところでどうした?」
元一「……私は御所様(義澄のこと)より京へ帰るようにと使いで参りました。」
政元「またか…時期に戻る。」
元一「ところで、細川京兆家(ほそかわけいちょうけ)の嫡男を聡明丸(そうめいまる)様に決めたとか…」
政元「うむ、早くに後継ぎを決めて争いを無くそうと思っての。」
元一「そのことで他の細川一門の方々が騒いでおりまする。細川の血でないものを後継ぎにしてよいのかと…。」
政元「一門のものが…」
元一「はい、阿波守護家や野州家(やしゅうけ)、典厩家(てんきゅうけ)の方々です。」
政元「阿波守護家…成之(しげゆき)の老ぼれか…」
元一「成之様からは殿への目通りを願っておりまする。早く帰ってこいと…」
政元「わかった、わかった。では今から帰るとしよう。」
京に帰った政元を待っていたのは成之と野州家の細川政春(ほそかわまさはる)であった。
成之「政元殿、待ちくたびれたぞ。」
政元「これは申し訳ない。政春殿もご一緒で、此度は何用で?」
政春「京兆家の後継ぎのことです。聡明丸は細川の血筋ではない。それに継がせてよいものか?」
成之「聡明丸は九条家(くじょうけ)の出。公家に武家の細川一門の棟梁が務まるのか!?考え直せ!」
政元はうんざりした表情だった。
政元「ならば、他に後継ぎに相応しいものがいるのですか?」
成之「いる!我が孫、六郎(ろくろう)、13歳になった。これこそ相応しい。六郎入ってこい!」
そこへ六郎が入ってきた。そして、六郎に付いている家臣も入ってきた。
政元『こいつは…』
内心つぶやきた政元はその家臣に見覚えがあった。
かつて政元が幼い頃に四国を旅した時に阿波で土一揆を主導していた三好之長(みよしゆきなが)だったのだ…。
つづく…
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