世は争乱…
我は室町幕府、第9代征夷大将軍・足利義尚(あしかがよしひさ)である。
文亀2年(1502年)春…
「愚か者!!」
細川政元(ほそかわまさもと)の館で政元の怒鳴る声が響いた。
怒鳴られている相手は養子の聡明丸(そうめいまる)であった。
政元「弓矢の稽古をさぼるとは何事か!?」
聡明丸「……」
政元「黙ってないで答えよ!」
そこへ聡明丸付きの家臣・香西元長(こうざいもとなが)が割って入った。
元長「殿、申し訳ございませぬ。」
政元「元長、そなたには聞いておらぬ。聡明丸に聞いておる。」
聡明丸「我は詩を読むのが好きなのです。弓矢などやりたくありませぬ!」
政元「そなたはわしの子、細川京兆家(ほそかわけいちょうけ)の後継ぎになるものぞ!我が細川は武士の頂点。武士ならば弓矢をつかえなくてどうする!?」
聡明丸「我は…我は公家、九条家の生まれ…」
そこまで言うと、
バシッ!
元長「殿、私が責任を持って、若殿を武士に成長させます。此度はお許しください!若殿!謝りなされ!」
聡明丸はイヤイヤ頭を下げていた。
ある日、政元を阿波守護家の細川成之(ほそかわしげゆき)が訪ねてきた。
政元「成之殿、わざわざ阿波からのお越し、痛み入りまする。」
成之「京兆家の後継ぎのことについて、言いたいことがあっての。京兆家は細川一門の本家、そなたの後はどうなされる?」
政元「わしには聡明丸という子がおりまする。」
成之「そのものは養子であろう。しかも細川の血は入っておらぬ公家の出であろう。そんなものに細川京兆家を継がせるのか?」
政元「公家の出とはいえ、我が子。立派な武士の子にしてみせます。」
成之「…我が孫を養子にしてみぬか?名は六郎(ろくろう)と申す。」
政元「わしに阿波守護家の子を養子に…ですか…」
成之「まぁ、今すぐ返事はせぬともよい。だが細川一門は細川の血を注ぐものに京兆家の当主にと思っておることを忘れるではないぞ。」
政元は成之を見送ったが、その後ろ姿を見ながら…
政元「阿波守護家は油断ならぬ。我が京兆家を乗っ取るつもりではないのか…」
阿波守護家は前当主の細川義春(ほそかわよしはる)が明応の政変の前、足利義尹(あしかがよしただ)に付いていたので、政元は要注意していたのだ。
文亀2年9月、政元は正式に聡明丸を嫡子に指名し、丹波国の守護職を与えたのだ…。
つづく…
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