世は争乱…
我は室町幕府、第9代征夷大将軍・足利義尚(あしかがよしひさ)である。
明応7年(1498年)9月、足利義尹(あしかがよしただ)は越前国の朝倉貞景(あさくらさだかげ)の一乗谷に入った。
貞景「義尹様、遠路お疲れ様です。」
義尹「なんの、これしき。京を奪回するまでは疲れなどと言うてる場合ではない。」
貞景「ここから京奪回の号令をいたしますか?」
義尹「うむ、紀伊の畠山尚順(はたけやまひさのぶ)、周防の大内義興(おおうちよしおき)、比叡山延暦寺(ひえいざんえんりゃくじ)の僧兵、そして、貞景が一気に攻めれば細川政元(ほそかわまさもと)も一溜まりもあるまい。」
貞景「……まっ、まずは旅のお疲れを取ってくださいませ。」
貞景は義尹の勢いに少し迷惑そうであった。
義尹に期待されている紀伊の畠山尚順は、先代より争っている河内の畠山義豊(はたけやまよしとよ)の牙城を徐々に崩していた。
そして明応8年(1499年)1月、ついに尚順は河内で義豊を討ち取ったのだ。
この報せは瞬く間に京の政元の知るところになった。
政元「紗奈(さな)、それは誠か!?」
紗奈「はい、河内、紀伊に放っていた我が忍びが義豊殿の死を見ております。」
政元「くっ、義豊め!頼りにならん!北からは義尹が朝倉と攻めてくるやもしれんのに、南からは尚順が来たら挟み撃ちではないか!」
紗奈「朝倉は来ますか?今、この畿内だけじゃなく越前でも飢饉が起きておりまする。」
政元「朝倉には兵糧がないのか!?ならば朝倉は攻めてこられぬ。」
紗奈「ただ義尹様は単独で来られるやもしれませぬ。」
政元「義尹の兵は千にも満たない。そこは大事ない。」
紗奈「叡山の兵はいかがしますか?」
政元「うむ、叡山は義尹に味方しおって…この際、わしの力を見せつけてやらねば…」
政元はニヤリと笑った。
一方、義尹は焦っていた。
義尹「貞景!一緒に上洛してくれぬのか!?」
貞景「申し訳ございませぬ。我が越前は飢饉に見舞われ、兵糧が足りませぬ。戦には兵糧が必要…それがないのです。これでは上洛はできませぬ。」
義尹「紀伊の尚順が河内で勝利し、京を挟み撃ちする絶好の機会ぞ!なんとかならぬのか!?」
貞景「今は自重なさいませ。我は出れませぬ。」
義尹「ならば…わしだけで行くわ!」
義尹は朝倉の越前国を出て京を目指した。その兵は政元の予想通り、千にも満たなかった。
同年7月、京の山、比叡山が燃えていた…。
つづく…
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