世は争乱…
我は室町幕府、第9代征夷大将軍・足利義尚(あしかがよしひさ)である。
1478年(文明10年)7月、細川政元(ほそかわまさもと)は我の任大将拝賀の儀礼が終わり、9日後に管領職を辞めると言ってきた。
我は驚き、自ら政元の館に訪れた。
義尚「政元!任じたばかりの管領を辞めるとはいかなることじゃ⁈」
政元「御所様、私はしばらく京を離れます。旅に出ます。」
義尚「旅⁈ なぜじゃ?」
政元「前年に長く続いた乱が終わった…しかし、本当に終わったのか?河内国では未だ畠山家が争っておりまする。」
義尚「畠山は内輪の争いだ。もう西軍も東軍もない。」
政元「私は自らの目で確かめたいのです。畿内だけでなく、地方で何が起きているのか?」
畿内って京に近い山城国、摂津国、河内国、大和国、和泉国のことを言うんだよ
我はじっと政元の目を見た。
義尚「…ふっ、これ以上言っても退かぬ目じゃな。仕方あるまい。どこへ行くのだ?」
政元「ありがとうございます。丹羽や四国に渡ってみとうごさいます。我が領地でもあります。」
義尚「では我から命ずる、その目で日本各地で何が起きているか見てまいれ。そして幕府は何をすべきか?我に教えてくれ。」
政元「はっ!」
政元は我の許しを得て旅に出ることになった。
政元に付き添うのはかつては乳母であり補佐役の紗奈(さな)と家臣である上原賢家(うえはらかたいえ)であった。
密かな旅で政元らを見送るは、もう1人の補佐役の細川政国(ほそかわまさくに)である。
政元「政国、留守を頼むぞ。」
政国「お任せくださりませ。殿、お気をつけて。」
政元らは夜陰に紛れて京を出た。
政元「まずは四国に渡ってみたい。」
紗奈「では河内を通って和泉から船で渡りましょう。」
賢家「河内は畠山の争いで危のうございます。気をつけねば。」
政元「うむ、我らを知られぬように行かねばな。」
この時、河内国の守護は畠山政長(はたけやままさなが)であったが実際に占領しているのは畠山義就(はたけやまよしなり)であった。
政長さんは河内、大和と守護だったのに両国とも義就さんに領有されて名目上の守護だったんだよ
河内を通る政元らが見たのは荒れ果てた田畑だった…。
つづく…
次回をお楽しみに〜
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