世は争乱…
我は室町幕府、第9代征夷大将軍・足利義尚(あしかがよしひさ)である。
1476年も春になった。
政元(まさもと)は我が父・足利義政(あしかがよしまさ)に呼ばれ小川御所(おがわごしょ)を訪れた。
政元は後見の細川政国(ほそかわまさくに)を連れて、義政の居間に入ると、入れ替わりに出て行くものがいた。
「これは…失礼いたした。」
政元「いえ…」
それなりの歳を重ねている武士と政元は感じた。
義政「おぉ、政元。入れ入れ。」
政元「お呼びにより参上しました…ところで先ほど出て行ったものはどちらの方で?」
義政「今のものか?あれは伊勢盛時(いせもりとき)じゃ。駿河に行くと言うので挨拶に来たのじゃ。」
伊勢盛時…後の北条早雲(ほうじょうそううん)である。
この時、早雲さんは駿河の今川氏(いまがわし)で起きた家督争いを治めに行ったんだよね
義政「政元、室町御所の様子はどうかの?」
政元「…どうかと申されても…」
義政「いや、わしは新たに山荘を作りたいのだが…物入りでな…」
政元は「金を無心したいのか…」と内心思った。
政元「自ら出向かれてはいいがですか?御台様も義尚様も心良くお迎えすると思いますが。」
義政「心良く?…それならばよいがの…」
政元「大御所様!」
政元は小さな手を床に叩き、大声を上げた。
政元「我が細川と山名(やまな)が和睦したのに未だ乱は治らぬ現状をどうお思いですか!?」
義政「なんじゃ?いきなり大声で」
政元「山荘を作るより、先にやられることがおありではありませぬか!?先年、大内(おおうち)が和議を乞うてきた時、大御所様は何も手を打たず…乱を治めるつもりはないのですか⁈」
義政「…わしに何ができる?富子(とみこ、義政の正室)や日野勝光(ひのかつみつ)が幼い義尚を担ぎ実権を握り、わしは蚊帳の外…いつもわしは蚊帳の外じゃ!」
義政も声を荒げた。政元に付いていた政国は慌てた様子だった。
政元「我が父、勝元(かつもと)や我が外祖父、宗全(そうぜん)の死を無駄にせず…この乱を治められるのは大御所様しかおりませぬ。」
義政「…わししかおらぬと?」
政元「はい、今まではどうあれ、大御所様が声をかければ大内も御弟君の足利義視(あしかがよしみ)様も耳を傾けましょう。」
義政はじっと目を閉じて考え…
義政「そなたはまだ幼少ながら、しっかりした大人の物言いじゃの。勝元はよい後継ぎに恵まれたものじゃ。」
政元「…はっ。」
義政も政元も微笑んだ。政国はホッと安心したようだった。
その後、義政は西軍の大内政弘(おおうちまさひろ)に世上無為の御内書を送ったのだ。
義政さん、東西和睦を説いたんだね。
政弘も義政の懇願に心を動かされていた。
そんな時…小競り合いが続いている京でとんでもない事が起きたのだ…。
つづく…
次回をお楽しみに〜
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