世は争乱…
我は室町幕府、第9代征夷大将軍・足利義尚(あしかがよしひさ)である。
聡明丸(そうめいまる、後の細川政元〔ほそかわまさもと〕)は父・勝元(かつもと)に連れられ、龍安寺(りょうあんじ)の跡にいた。
そこで見たのは石が点在している庭地であった。
勝元「聡明丸、ここには、わしが創建した龍安寺があった場所だ。」
聡明丸「龍安寺は存じております。立派な枯山水(かれさんすい)の庭園があったと聞いておりまする。」
勝元「うむ。ここに石が複数ある。石の数を数えてみよ。」
聡明丸「はい。1,2,3……14にございます。」
勝元「うむ、そなたの目には14と写ったか…ここの石は全部で15個ある。」
聡明丸「えっ⁈今一度数えてみます。1,2……やはり14個です。」
勝元「実は15個の石を14戸に見えるように配置してあるのだ。」
聡明丸「なんと…」
勝元「15という数は完全なるものを意味する。14しかないということは不完全な庭…ということになる。」
聡明丸は何度数えても14個の石が見えるだけだった。
勝元「その足りないものを見ようとする、追求する心を忘れてはならぬぞ。この庭はそうゆう心を忘れまじと思い作ったのだ。」
聡明丸「追求する心…」
勝元は夜空を見上げ、
勝元「その心ができた時、そなたにも15個の石が見えるかもしれんぞ。」
聡明丸「父上は見えたのですか?」
勝元「未だ見えておらぬ…完全なるものはいずれ崩壊する。今の幕府も同じだ…わしも宗全(そうぜん)殿も完全なるものを求めて乱が起きてしまった…しかし、それは誤りだったのだ。完全と思われた幕府を壊してしまった。不完全なものを追求するからこそ、人は努力する。わしはそれを忘れてしまっていた…。」
その時、
勝元「ゴホッ!ゴホッ!」
勝元は血を吐いた。
聡明丸「父上!!血を…」
勝元「…わしの命も長くない。」
聡明丸「病なら、医師を呼びましょう。」
勝元「病ではない……何者かがわしに毒を盛ったのだろう。」
聡明丸「それなら、なおさら医師に…」
勝元「聡明丸、聞け!わしはこうなる運命であったのだろう。わしが消えたら、そなたは細川家の当主になり、山名と和睦するのだ。そして、乱を治めよ!」
そう言って勝元はその場に倒れてしまった…。
つづく…
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