世は争乱…
我は室町幕府、第9代征夷大将軍・足利義尚(あしかがよしひさ)である。
文明3年(1471年)、春先のある夜の室町御所…
夜、聡明丸(そうめいまる、後の細川政元〔ほそかわまさもと〕の幼名)は寝所で眠っておった。
そこへ…
「聡明丸…」
聡明丸「…ん…」
「聡明丸、起きろ!」
聡明丸「!誰⁈」
聡明丸が起き上がると目の前にいたのは、
聡明丸「…春王(はるおう)様!」
春王くん、足利義尚さんの幼名だね
聡明丸を起こしたのは幼い我であった。
聡明丸「いかがなされました?こんな夜更に?」
春王「夜なら御所から外へ出られる。御所の中での遊びは飽きた。外の世界を見に行こうぞ!ついて参れ!」
聡明丸「外の世界、私も生まれてから見たことはありませぬ。されど…」
春王「大事ない。さぁ、行くぞ!」
我は無理矢理に聡明丸を連れて室町御所から抜け出したのだ。
抜け道はあらかじめ調べておき、警護の者の目をうまくごまかせた。
この時期、戦乱は京から地方へ移っており、京は政争の場になっておった。
御所からすぐ側に焼けた荒れ寺があった。
春王「これは…ひどい焼けようだな」
聡明丸「ここは相国寺(しょうこくじ)ですね。応仁元年(1467年)の戦いで焼失したと聞いております。」
相国寺での戦を機に京での戦闘は少なくなり、周りの地域で多くなったんだ
春王「相国寺は我が曾祖父、3代将軍・足利義満(あしかがよしみつ)公が建てた立派な寺を聞いておったが…今や荒れ果てておる…」
我も聡明丸も荒れ果てた相国寺を見て言葉が出なかった。
そこへ、
「おい!」
2人は声が聞こえた方へ振り向くと、強面の男がおった。
「なんだ〜こんな夜更に小童がうろついておるとは。」
聡明丸は小声で、
聡明丸「春王様、こやつは野盗というものではござりませぬか?」
春王「これが野盗か、我が成敗してくれるわ。」
聡明丸「なりませぬ、相手は1人ではござりませぬ。逃げましょう。」
野盗「何をごちゃごちゃ言ってんだ?おまえら、小童のくせに、いい着物を着ておるな。脱いでいけ!」
そこで聡明丸は小石を投げた。
バシッ!
野盗「痛っ!」
聡明丸「今だ!」
春王「走るぞ!」
我と聡明丸は夢中で走りました。
ようやく逃げ切り、
聡明丸「はぁ、はぁ、春王様、大丈夫ですか?」
春王「はぁ、大事ない。ハハッ面白いの。外の世界は。」
聡明丸「…ところで、ここは…」
夢中で走ってたので、どこだかわからない場所に着いてしまったが、そこは山名宗全(やまなそうぜん)率いる西軍の陣地だったのだ…。
つづく…
次回をお楽しみに〜
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