諸行無常の世の中…
我は北条泰時(ほうじょうやすとき)が妹、竹子(たけこ)です。
1224年夏の終わり…泰時は亡き義時(よしとき)の遺領の件で政子(まさこ)様に呼ばれました。
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政子「泰時、義時の遺領配分ですが、そなたに配分はこれでいいのですか?」
泰時「これでとは?」
政子「そなたは義時の後を継いだのです。しかし、遺領の配分が少ないのではないですか?他の弟や妹より少ない…」
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政子「そなたの分を多くして弟たちを統制せねばなりませぬ…」
その時、泰時は手を上げ政子様の声を止め、
泰時「叔母上、これでよいのです。これで…私は執権の身ですから。」
政子様は泰時の言葉を聞き、感心しました。
泰時「ところで叔母上に聞きたいことがございます。先の伊賀氏(いがし)の騒動のことです。」
政子「その事は解決したはずですが…」
泰時「信濃に流罪となった伊賀光宗(いがみつむね)ですが…企ての密談をしている時、狩りに行っており不在だったと我が家臣が調べ、突き止めました。」
政子「…光宗は無実だと?企てがあったのは事実です。」
泰時「光宗は鎌倉の御家人、これからの鎌倉には必要です。それを罪ありとしたのはなぜでしょう?」
政子「泰時…この騒動の処理の責任は全て私にあります。私が全てを被るのです。」
泰時「それはいかなることですか?」
政子「私も義時や父・時政(ときまさ)と同じ血を引いています。私も黒い部分があるのですよ。だが黒はここで終わりにしたいのです。だから私が全ての責任を取って終わりなんです。」
泰時「叔母上…」
政子「私が死んだら、泰時の好きになさい。私はそなたには白であってほしいのですよ。」
泰時はそれ以上、問い詰めることをやめました。
泰時「叔母上、これから私は執権として勤めねばなりませぬ。家のことが疎かになってはならぬよう北条家に家令を置こうと思うのです。」
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政子「それはよい考えですね。これからは鎌倉、東国だけでなく日本全体を治めていかねばなりませぬ。家令を置くことはそなたの負担が減って…よい…ゴホッ、ゴホッ!」
泰時「叔母上!大事ありませぬか!?誰か!医師を!」
政子様は泰時の手を捕まえ、
政子「…大事ありませぬ。泰時…」
しかし、政子様は自らが長くないと感じていたのです…。
つづく…
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