諸行無常の世の中…
我は北条泰時(ほうじょうやすとき)が妹、竹子(たけこ)です。
1224年6月、鎌倉…
伊賀光宗(いがみつむね)の館を鎧を着た武士たちが囲みました。
1人の武士が叫びます。
「伊賀光宗!尼御前様の命だ!!」
「御所へ連れて行く!」
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光宗「なっ、何だ!?わしは何もしておらぬ!」
「問答無用!!」
光宗は捕らえられ御所へ連れて行かれました。
また同時間に伊賀の方(いがのかた)と一条実雅(いちじょうさねまさ)も捕らえられたのです。
数日後、御所では政子(まさこ)様と大江広元(おおえのひろもと)、そして泰時が話し合っていました。
政子「広元殿、捕らえたものの取り調べはどうでしたか?」
広元「伊賀の方はほぼ認めております。光宗と実雅は乗せられただけのようです。」
泰時「やつらの目的は…後鳥羽法皇(ごとばほうおう)の帰京ですか?」
広元「いや、3人はそこまでの考えはないです。伊賀の方は自らの子・政村(まさむら)を執権の座に付けたいのが目的、光宗は伊賀氏を北条に成り代わるのが目的、実雅は2人に担ぎ上げられ将軍の座につくのが目的。」
泰時「首謀者は…尊長(そんちょう)?」
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広元「そうです。全ての企みの言い出しは尊長です。しかし、やつは行方がわかりませぬ。」
泰時「尊長が3人を言いくるめた張本人か…」
政子「伊賀の方、光宗、実雅は流罪にします。鎌倉を乱そうとした罪、これは重く見なければなりませぬ。」
広元「まぁ、当然ですな。政村は?」
泰時「叔母上、政村はただ担ぎ上げられそうになっただけ。母は違えど我が弟、流罪はお許しください。」
政子「元より、そのつもりです。たが…泰時、母を流された思いは政村の中に残るでしょう。注意が必要ですよ。」
泰時「わたしが責任をもって政村を導いていきます。」
政子様の命が下り、伊賀の方は伊豆へ、光宗は信濃へ、実雅は越前へ、それぞれ配流となりました。
此度の騒動を「伊賀氏の変(いがしのへん)」と呼ばれました。
泰時は腑に落ちないものがあり、家臣・長崎次郎(ながさきじろう)を密かに捕らえられている光宗の元へ遣わし調べたのです。
その頃、東海道に沿う山中を西に逃げるものがいました。
「くそっ!伊賀の連中は役に立たん!いつか必ず泰時を倒してやる!」
ボサボサな袈裟姿、それは尊長でした…。
つづく…
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