諸行無常の世の中…
我は北条泰時(ほうじょう)が妹、竹子(たけこ)です。
政子(まさこ)様の忍びの輝(てる)は闇で密談を密かに聞いていました。
「我が子を執権につけて…」
「私が将軍に…」
「三浦(みうら)を後ろ盾に…」
輝がそっと声の方を除くと…
輝『あれは…』
輝が見たのは男2人と女1人、そして僧らしき人物でした。
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翌日、泰時は政子様がいる御所に行きましたが、政子様は不在でした。
その時、泰時は後ろから声をかけられました。
「泰時殿!」
泰時が振り向くと、そこには泰時の前妻の優子(ゆうこ)がいたのです。
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泰時「優子、久しぶりだな」
優子「政子様は御所にいなかったでしょ。」
泰時「ん?行き先を知っているのか?」
優子「政子様は三浦の館にいらっしゃるわ。私は泰時殿を迎えに来たのよ。」
泰時「三浦…義村殿のところに…何用か…?」
泰時は優子に引っ張られ、三浦の館に行きました。
そこには政子様と義村が話をしているところでした。
義村「泰時殿、来たな」
泰時「叔母上、義村殿、いかがされましたか?」
政子「私は義村殿の真意を確かめに来たのです。」
泰時「真意?なぜ確かめるのですか?」
政子「義村殿は泰時を支えてくるのか…それを直に聞きたかったのです。」
義村は笑いながら、
義村「わしは元より泰時殿の味方だと何度申しておるのに〜」
泰時「…叔母上、何が起きたのですか?」
政子「鎌倉に陰謀をしているものがいるのです。そなたや三寅(みとら)殿を外し、三浦殿を後ろ盾とし、幕府の乗っ取りを企んでいるのです。」
泰時「なんと…まさか、その者らが父・義時(よしとき)を殺したもの?」
政子「そこまではわかりませぬ…されど疑いはあります。」
泰時「その者らは誰ですか?」
政子「もう捕らえられているでしょう…その者は…伊賀の方(いがのかた)と伊賀光宗(いがみつむね)、そして僧の尊長(そんちょう)!」
泰時「伊賀の方!?父上の奥方…」
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義村「やつらがわしを後ろ盾に利用しようとは、まったくふざけたやつらだ!」
泰時「尊長……まさか後鳥羽法皇(ごとばほうおう)に仕えていた僧侶では?」
政子「そのようです。先の乱で行方知れずになっていたのです。」
泰時は今だに承久の乱(じょうきゅうのらん)の影響が残っていることに憤りを感じたのです…。
つづく…
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