諸行無常の世の中…
我は北条泰時(ほうじょうやすとき)が妹、竹子(たけこ)です。
三浦義村(みうらやすむら)が御所にいる政子(まさこ)様と泰時の元にやってきました。
義村「尼御台様…わしの家臣が京からの使いを捕らえました。そいつはこんな書状を持っていましたぞ。」
義村が持ってきた書状は朝廷からの宣旨でした。
泰時「これには朝廷に参じて父,義時(よしとき)を討てば日本総追捕使に任じるとあります。」
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政子「義村殿は朝廷方に付くおつもりか?」
義村「尼御台様、わしの弟、胤義(たねよし)は朝廷方に付いた…されど!わしは以前から申し上げてるとおり、泰時殿の味方なのだ!」
政子様はそれを聞き、安堵の表情を見せました。
そこへ義時と大江広元(おおえのひろもと)が入ってきました。
義時「よく申された、義村殿。」
義村「ふっ、わしはお前は嫌いだが、泰時殿は好きだからな。」
泰時「まぁ、ここはそれより御家人たちにどう対応するか…です。」
この時、朝廷からの宣旨を聞きつけて動揺した御家人たちが御所に集まっていました。
広元「尼御台様、ここはあなた様が御家人たちの動揺を抑えねばなりませぬ。」
政子「わたしが…?」
広元「亡き頼朝(よりとも)様の妻であり、頼家(よりいえ)様、実朝(さねとも)様の母である尼御台様しか動揺を抑えるものはいませぬ。」
泰時「叔母上、頼朝様は朝廷を越えようとしていたのです。それが今でごさいます。」
政子「…わかりました。集まっている御家人たちを庭に呼びなさい。」
政子様は御家人たちの前に出ました。
動揺する御家人たちは騒ついていました。
政子「皆、心を一つにして聞きなさい!私からの最後の言葉です。
亡き頼朝公が鎌倉に武士の政を創ってから、あなたたちの官位は上がり禄高も増えました。かつて平家に仕えていた時はどうでしたか?京に裸足でいく有り様でした。
しかし、京で無理に働かせることなく、よい暮らしができるようになりました。
それもこれも亡き頼朝公の御恩。その御恩は海より深く山より高いのです。
今、その御恩を忘れた逆臣が朝廷を騙し私たちを討とうとしています。
今こそ頼朝公の御恩を返す時!
名を惜しむものは三代に渡る将軍家の御恩に報いよ!
ただし、朝廷方に付こうというものは構いませぬ。早く行きなさい!」
これを聞いた御家人たちは胸を打たれました。
「尼御台様の言うとおりだ!」
「頼朝様の御恩に報いる時だ!!」
「我らは鎌倉武士!京の好きにさせてなるものか!」
「尼御台様に従おう!」
御家人たちは政子様の決死の言葉に感動し鎌倉方とする決意をしたのです。
これを見た義時や広元、泰時、義村らは早速軍議に入ったのでした…。
つづく…
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