白の執権 〜第102話 実朝と公暁〜 | 歴史を感じよう

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日本史について感じたこと、調べたことを連載形式で書いていきます。また、神社やお寺、史跡巡りしたこと、プロレスについても書いていきます。わが愛犬てんのことも語っていきます。そして…「オイラ、えいたろうの相棒のコアラだよ。是非読んでね。」

前回まではこちら⬇️




諸行無常の世の中…

我は北条泰時(ほうじょうやすとき)が妹、竹子(たけこ)です。




1218年12月、鎌倉の御所…



将軍・源実朝(みなもとのさねとも)様の右大臣就任で母である政子(まさこ)様、執権・北条義時(ほうじょうよしとき)、大江広元(おおえのひろもと)らは式典の話し合いをしていました。

コアラ右大臣就任は武士としては初めてなんだよね





その席には泰時や三浦義村(みうらよしむら)もいました。



義時「鎌倉殿(実朝様のこと)、右大臣就任は神仏のご加護あってのもの。」

実朝「うむ、鎌倉をご加護して頂いているのは鶴岡八幡宮(つるがおかはちまんぐう)。八幡様に拝賀をせねばならぬな。」


コアラ拝賀って任官などした時に神仏や朝廷に礼を申し述べることを言うんだよ。


鶴岡八幡宮



政子「鶴岡八幡宮は亡き頼朝(よりとも)公が大切にされました。頼朝公も喜んでいるでしょう。」

広元「では、年が明けてから拝賀式を行いましょう。2月辺りでどうでしょう?」

実朝「それでよい。」



そこへ、

公暁(くぎょう)様がお目通りを願っておりますが…」



公暁様は鶴岡八幡宮で参籠を続けていたのです、


政子「まぁ、ようやく参籠が終わったのですね。ここへ通しなさい。」




現れた公暁は髪も髭も伸びたままでした。



公暁「お目通り頂き、誠にありがとうございます。」

実朝「うむ。参籠、ご苦労であった。」

政子「公暁、髪も髭も伸びて…鎌倉殿が右大臣になられたのですよ。来年2月には八幡様で拝賀の式を行います。そなたも髪を下ろして綺麗にせねばなりませぬぞ。」

公暁「これは…来年2月ですね。では私はまた参籠に入ります。拝賀式が無事行われるよう祈願いたします。」

広元「少しは休まれてはいかがですか?」

公暁「祈るが私の役目ですから。」

実朝「公暁、そなたが祈願してくれるおかげで鎌倉は今、争いもなく穏やかに過ごせておる。礼を言うぞ。」

公暁「いや……礼とは…」

実朝「そなたは我が子、体は大事にするのだぞ。」

公暁「………ありがたきお言葉、幸せにございます。」


公暁はそう言うと再び参籠に入りました。






泰時と義村はいなくなった義村の家臣、伊原光吉(いはらみつよし)を探していました。


しかし、全く手掛かりすら見つからなかったのです。





そして年が明け、1219年になりました。


御堂で参籠を続けいた公暁の元に影の声が現れたのです。



影の声「拝賀は2月、拝賀する際は護衛の兵も少ない。そこでやるのだ!」

公暁「…私はやりたくない!殺したくない…鎌倉殿は…仇ではないだろう!」

影の声「何を申す⁈」

公暁「私は猶子とはいえ、情けをかけて頂き…そんな父である鎌倉殿が仇であるはずがない!私はやらぬ!」

影の声「……ならば仕方がない」



!!



やがて御堂には静寂が訪れたのです…。






つづく…
コアラ次回をお楽しみに〜






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