諸行無常の世の中…
我は北条泰時(ほうじょうやすとき)が妹、竹子(たけこ)です。
泰時はもう1人の上皇様、土御門上皇(つちみかどじょうこう)様に呼ばれました。
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土御門上皇様は土御門殿(つちみかどどの)邸宅に居ました。
泰時のお供に私の夫・大江親広(おおえのちかひろ)が付いていました。
泰時「上皇様は私に何用なのだろうか…?」
親広「さて…土御門上皇様は穏和な人柄です。」
泰時「うむ…」
親広「しかし、朝廷の実権は後鳥羽上皇様が握っています。」
泰時は庭先で待たされました。
そこへ…
「よく来てくれた…」
現れたのは土御門上皇様でした。
泰時は平伏しました。
泰時「これは…北条泰時にございます。」
土御門「うむ、朕が土御門だ。そなたのことは父から聞いておる。関東で手強いのは、そなただと。」
泰時「滅相もありませぬ。」
土御門「父や弟(順徳天皇(じゅんとくてんのう))は武芸を好み、周りに護衛の武士を付けておる。朕にはできぬことだ。」
土御門上皇様は穏和な性格のため、後鳥羽上皇様が期待を寄せた激しい気性の弟に譲位をさせました。それが順徳天皇様でした。
土御門「朕は…争いは好まぬ。源頼朝(みなもとのよりとも)は武士をまとめた人徳者だと思う。」
泰時「我らは頼朝様のおかげで今があります。」
土御門「朕は関東とは争いたくない。父の心の内は…和を望んでいるはず。泰時、関東が暴発しないように抑えてくれ。」
泰時「関東が暴発することはありませぬ。私が心配なのは…御父上様の周りにいる西面武士(せいめんのぶし)のことです。」
土御門「西面武士か…父はあやつらを手足のように使っておる。困ったものだが…とにかく、朕は争わぬよう父をお諌めいたす。泰時、そちらも頼むぞ。」
泰時「ははっ!」
泰時と土御門上皇様…後に重要となる繋がりができたのです。
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その夜、泰時は六波羅の庭先で月を見ていました。
泰時は2人の上皇様のことを考えていました。
『好戦的な後鳥羽上皇様と穏和な土御門上皇様…朝廷は2つに割れているのか…』
その時!
シュッ!!
矢が飛んできました。
泰時「くっ!!」
泰時は矢を避けました。
その矢には文が付いており、泰時はその文を開けると…
『帰れ』
と書いてあったのです…。
つづく…
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