諸行無常の世の中…
我は北条泰時(ほうじょうやすとき)が妹、竹子(たけこ)です。
1217年夏、鎌倉の鶴岡八幡宮(つるがおかはちまんぐう)に泰時は来ていました。
そこには政子(まさこ)様や義時(よしとき)、三浦義村(みうらよしむら)も来ていました。
1人の僧が鎌倉に帰ってきたのを迎えていたのです。
その僧は公暁(くぎょう)。
二代将軍・源頼家(みなもとのよりいえ)様の遺児で出家して6年前に上洛し園城寺(おんじょうじ)で修行をしていたのです。
政子「立派なお姿になりましたね。」
義村「亡きお父上もお喜びになられましょう」
政子「公暁、そなたは今日から、この鶴岡八幡宮の別当です。」
公暁「私が…」
政子「この鶴岡八幡宮はあなたのお祖父様、源頼朝(みなもとのよりとも)様が大切にした武士の守り神。別当職はそなたにふさわしいでしょう。」
公暁「公暁、立派に別当職を務めてまいります。」
義村「おぉ〜、これは頼もしい。」
乳母夫である義村は目を細めて喜んでいました。
公暁「今日は鎌倉殿(源実朝(みなもとのさねとも)のこと)はいかがされておりますか?ご挨拶を申し上げたいのですが」
義時「鎌倉殿はお風邪を召されおります。ご挨拶は後日になされるがよろしかろう。」
泰時は公暁を見て頼家様のことを思い出していました。
『頼家様は今頃、どこでどうされているのだろ…自由に生きておられるだろうか…』
公暁の別当職就任も終わり、泰時は帰ろうとした時、政子様に呼び止められました。
政子「泰時、私は来年に上洛しようと考えています。」
泰時「お祖母様が?」
政子「鎌倉殿が相変わらず病弱なので熊野(くまの)に詣でて平癒を願ってくるのです。」
泰時「私にお供せよと?」
政子「ふふ、そのとおりです。その後、京にも参ります。」
泰時「京に?」
政子「熊野詣は表向き、京に行くのが今回の目的です。」
泰時「…何か重要なことをなされるのですね」
政子「そなたも京で調べたいこともあるでしょう…」
泰時の調べたいこと…それは三浦義村の家臣である伊原光吉(いはらみつよし)のことでした。
泰時「承知しました。準備をしておきましょう。」
政子「頼みますよ。」
数日後、病が癒えた実朝様は公暁に会いました。
実朝「公暁、立派な僧侶になった。」
公暁「はい、これも鎌倉殿のおかげにごさいます。」
実朝様は喜んでいました。
公暁も笑顔を見せていましたが…その目の奥では笑ってはいませんでした…。
つづく…

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