諸行無常の世の中…
我は北条泰時(ほうじょうやすとき)が妹、竹子(たけこ)です。
官位の昇進が年齢の割に早い源実朝(みなもとのさねとも)様を危惧した大江広元(おおえのひろもと)が実朝様に問いました。
広元「鎌倉殿(実朝様のこと)の昇進は喜ばしいことながら…官位を望むは亡きお父上、源頼朝(みなもとのよりとも)様が危惧するところにあります。今は征夷大将軍であることをまっとうすべきではないでしょうか…」
かつて頼朝様は朝廷から送られた官位を一旦は受けたのちに数日で返上したことがあります。
実朝「広元の言うこともよくわかる……。」
広元「ならば!」
実朝「私には子がいない。私の代で源氏の正統は途絶えると思っている。滅びるなら…源氏の身分をもっと高めておきたいのだ。」
広元「それは……。」
広元は何も言い返せませんでした。
このことを聞いた北条義時(ほうじょうよしとき)も泰時も唖然としました。
義時「鎌倉殿は源氏が滅びると思っておるのか…そのために官位を欲しておると…。」
広元「うむ…政子(まさこ)様が聞いたら悲しむであろう。」
泰時は単身、実朝様に会いに行きました。
「考えを改めてもらわねば、武士の世は危うい」
泰時はその一念を持って実朝様の前に来ました。
実朝「いかがした?厳しい顔になっておるぞ。」
泰時「広元殿から聞きました。源氏は滅びるとか…」
実朝「そのことか…」
泰時「鎌倉殿のお父上、頼朝様は武士の世を作るために力を尽くしました。私は頼朝様が亡くなる時、''武士の世を頼む、泰らかな世を"とお言葉を賜りました。」
実朝「武士の世か…しかし父上は晩年、朝廷に入りこもうとした。私が官位を求めるのと変わらぬではないか?」
泰時「頼朝様がそうされたのは朝廷を超える力を持とうとしたからです。その力を持って武士の世が続くようにされたかったのです。」
実朝「朝廷を超える力?朝廷が鎌倉を滅ぼすというのか?」
泰時「私にはわかりませぬが…頼朝様は危惧していたのです。だから朝廷をも超える力を持っておこうとしたのです。このことを知っているのは私と我が父、義時。それと政子様だけです。」
実朝様は泰時をじっと見つめ…
実朝「…1人になりたい。泰時、下がれ。」
泰時は退室しました。
泰時『わかってくだされたであろうか…』
その後、実朝様は官位の件に関しては何も言いませんでした。
それから5ヶ月が経ち、1216年も初冬…
実朝様は、
「私は宋の国に行きたい!船を作るのだ!」
それを聞いた御家人たちは驚きました…。
つづく…

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