諸行無常の世の中…
我は北条泰時(ほうじょうやすとき)が妹、竹子(たけこ)です。
1213年2月、鎌倉は騒然としていました。
信濃国の御家人、泉親衡(いずみちかひら)が和田義盛(わだよしもり)の子、義直(よしなお)義重(よししげ)、甥の胤長(たねなが)らの謀反の企てが発覚したのです。
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泰時は義時(よしとき)の命により兵を率い、親衡の館に向かいました。
館に着くと、親衡は既に待ち構えていたのです。
泰時「泉親衡!!鎌倉殿のお召しだ!矢を捨て、御所に来られよ!」
親衡「ふっ、我が矢の威力はご存知であろう⁈ 金剛丸…いや泰時!」
かつて泰時が身を山伏に変え金剛丸と名乗って関東諸国を巡っていたおり、新田荘で親衡と会っていたのです。
泰時「覚えておられたか…何ゆえ、謀反など起こす?共に武士の世を守ろうではないか!」
その時、親衡は矢を放ちました。
矢は泰時の肩の辺りをかすめました。
その矢と当時に両軍の兵が合戦に入ったのです。
バスッ!
ザクッ!!
この混乱の中、親衡は馬に乗りました。
泰時「親衡!逃げるか⁈ 」
親衡は振り返り、
親衡「泰時!武士の世と言うたな⁈ 今の世を見よ!今の鎌倉を見よ!今の北条を見よ!」
親衡は矢を放ち、そのまま逃亡していきました。
泰時「弥助(やすけ)、親衡を追え!逃してはならぬ!」
弥助「はっ!」
泰時の家臣、尾藤弥助は親衡を追いました。
泰時は親衡の言葉を思い出していました。
『今の世を見よ!今の鎌倉を見よ!今の北条を見よ!』
親衡はそのまま逃亡して行方がわからなくなったのです。
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一方、義時は和田義直、義重、胤長らを捕らえていました。
この騒動が起きた時、和田氏の当主、和田義盛は自領の上総国に行っており鎌倉を留守にしていました。
義盛はこの騒動の報せを聞き、急遽、鎌倉に戻ってきたのです。
そして鎌倉殿である将軍、源実朝(みなもとのさねとも)に会い、義直、義重、胤長らの赦免を願いでました。
実朝「義盛、そなたの長年の功績に免じて許してやろう。ただし!この先はこのようなことのないようにな。」
義盛の面目は立ちました。
しかし、赦免されたのは義直、義重だけで胤長はまだ捕らえられたままだったのです…。
つづく…
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