諸行無常の世の中…
我は北条泰時(ほうじょうやすとき)が妹、竹子(たけこ)です。
泰時は2人の家臣、尾藤弥助(びとうやすけ)、長崎次郎(ながさきじろう)と共に関東諸国廻りの旅を終え、鎌倉へ向かっていました。
3人は山伏の姿に身を変えて旅してたんだよ。
弥助「こうして歩いてみると関東は広うございますな。」
次郎「もう相模国には入っていると思います。」
泰時「あと少しで鎌倉であろう。」
泰時は足を止め…
泰時「フンっ!!」
振り向きざま、小太刀を投げました。
ザスッ!!
小太刀は後方の樹に刺さりました。
次郎「!!いかがなされました⁈ 」
すると、樹の影から何者かの姿が現れました。
弥助「何奴!?」
その者は素早く逃げていきました。
弥助と次郎が追おうとしましたが、
泰時「捨ておけ!」
弥助「されど…」
泰時「あの者、ずっと我らを付けて来ておった。」
次郎「殿はご存知だったのですか?」
泰時「うむ、以前にも伊豆にお祖父様(時政(ときまさ)のこと)を訪ねた時も付けて来ていたからな。」
弥助「我らを付けるとは一体何者でしょう…?」
泰時「どこかの御家人の忍びか、はたまた…」
泰時は父、義時(よしとき)が見張りを付けていたかも…と思いました。
泰時『父ならやりかねんからな…』
泰時さんは義時さんの腹黒い部分を見てきたら、そう思ったんだね。
泰時らはようやく鎌倉へ着きました。
泰時の館では私も泰時の妻、優子(ゆうこ)や長男の太郎(たろう)と共に出迎えておりました。
竹子「兄上、お帰りなさい。」
泰時「おぉ、竹子。来ておったか。」
優子「殿がいない間、竹子さんが遊びに来てくれたのよ。」
泰時「それは賑やかであったの〜」
泰時は太郎を抱き、
泰時「太郎、父は帰ってきたぞ〜。元気であったか?」
太郎「はい!父上!」
久々に訪れた家族の時間に泰時は癒されていました。
私は太郎と庭で遊び、泰時と優子は縁側でそれを見ていました。
優子「旅はいかがでしたか?」
泰時「諸国には様々な武士がわしには見えない苦労をしておった。政を預かる身なれば、これを知っておいてよかった。」
優子「…」
優子は思いつめた様子でした。
泰時「優子、いかがした?」
優子「殿…私を…離縁してください。」
つづく…
次回をお楽しみに〜
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