諸行無常の世の中…
我は北条泰時(ほうじょうやすとき)が妹、竹子(たけこ)です。
1204年秋、京では後鳥羽上皇(ごとばじょうこう)様が歌会を行なっていました。
歌会には上皇様の叔父、坊門信清(ぼうもんのぶきよ)が参加していました。
信清「さすが上皇様、いつもながら素晴らしい歌をお読みになります。」
後鳥羽「信清、いつもながら褒めすぎだぞ。それより鎌倉は新たな将軍、源実朝(みなもとのさねとも)が京の公家の娘を嫁に欲しているらしいの。」
信清「なんでも実朝は嫁に同じ武家の足利氏(あしかがし)の娘を勧められたのですが断ったそうです。」
後鳥羽「ほう、実朝は京に興味を持っておるのだな。朕と組みやすいかもしれぬ…信清、そなたの娘はいかがじゃ?」
信清「私の娘ですか?」
後鳥羽「歌も読めるであろう。実朝を取り込むのだ。ところで北条の…金剛(こんごう)はいかがしておるかの?」
信清「金剛…あぁ、北条泰時と申すものですね。確か嫁を取り、前年には子をもうけたとか…」
後鳥羽「あの小童も子を持つ父親になったか…朕の剣は見つけてくれたかの…ふっふふ」
鎌倉の泰時の館では泰時が前年に生まれた子、太郎(たろう)をあやしていました。
産んだのは泰時の正室、優子(ゆうこ)です。
館には4歳の私、竹子が遊びにきていました。
竹子「兄上、太郎が私を見て笑ったよ。かわいい〜」
泰時「竹子は太郎と遊ぶのが好きじゃの。毎日我が館に来ておる。」
竹子「ここに来れば太郎と遊べるし兄上にも会えるもん。」
泰時「父上は館にはいないのか?」
竹子「父上はお祖父様の館に行ってばかりよ。」
その頃、泰時や私の祖父、北条時政(ほうじょうときまさ)はまだ12歳の実朝様を補佐し政(まつりごと)を取り仕切る執権(しっけん)に付いていました。
時政「義時、鎌倉殿の御台は京の坊門信清殿の娘御を迎えることになったぞ。」
義時「坊門信清殿は上皇様の外叔父に当たるお方。鎌倉殿はお喜びでしょう。」
時政「うむ。されど京の色が強くなるの。」
2人が話をしているところに1人の女性が入ってきました。
時政の妻の牧の方(まきのかた)です。
牧の方「あらっ、義時殿、いらしてたのね。」
義時「はい、鎌倉殿の御台様のことなどを話ておりました。」
牧の方「坊門殿の娘御ね。鎌倉の御家人が京にお迎えにいくとか?」
時政「もう御家人たちは出立しておるの。」
牧の方「私の子、政範(まさのり)もその陣に加わっているのよ。」
政範は時政と牧の方の間に生まれた男子で義時や政子様の異母弟にあたります。
ところが数日後、政範の死と御家人同士の争いの報せが京より入ってきたのです…。
つづく…
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