諸行無常の世の中…
我は北条泰時(ほうじょうやすとき)が妹、竹子(たけこ)です。
1199年秋、鎌倉では事件が起こりました。
亡き源頼朝(みなもとのよりとも)様の頃より仕えていた御家人、梶原景時(かじわらかげとき)が他の御家人たちの反発をかい鎌倉を追放されたのです。
景時は自らの一族を連れ、所領の相模国一宮に謹慎しました。
この謹慎で御家人たちの反発が和らぎ、景時は鎌倉へ戻っていました。
しかし、源頼家(みなもとのよりいえ)様は景時を庇うことができなかったのです。
泰時は景時の館を訪ねました。泰時は鎌倉殿の忠臣である景時の真意を知りたかったのです。
景時「北条のものがわしに何の用だ?」
泰時「此度わたしが来たのは北条家とは関係ありませぬ。わたしは真意を知りたいのです。」
景時「……」
シャキッ!
景時は太刀を抜き、泰時の顔に突き付けました。
泰時は微動だにせず景時を見つめました。
景時「…そなたには偽りはないようだな。」
泰時「偽り…とは?」
景時「今の鎌倉、御家人たちを見よ。本気で鎌倉殿に仕えているものがいるのか?…皆、己の欲得ばかりではないか…」
泰時「十三人の合議制で鎌倉殿を補佐する体制は整っておりますが…」
景時「あれは若い鎌倉殿から権力を奪ったにすぎない。権力を失った鎌倉殿は飾り物となるだろう。」
泰時「そんなことが…」
景時「今の鎌倉殿…頼家様は若い、まだ権力を奪われるとは思ってないようだ。わしが鎌倉殿の盾になろうと思ったが…」
泰時「わたしの名は亡き頼朝様より与えられたもの。わたしは鎌倉殿を支えていく所存!」
景時「泰時…志しはよいが、そなたもまだ若い。自らの家をよく見るのだ。」
数日後、景時は鎌倉を追放されました。
『自らの家をよく見よ!』
泰時は景時が残した言葉を思い返していました。
泰時「景時殿追放には…北条が裏で動いているのか…?」
翌1200年、景時は一族とともに上洛しようと京に向かう途中、駿河国辺りで在地の武士たちに襲撃され討ち死にしたのです。
不穏が続く鎌倉ですが、新たな生命が誕生しました。
泰時の父、義時(よしとき)と正室、姫の前(ひめのまえ)に女の子が生まれました。
それがわたし…竹子(たけこ)の誕生です…。
つづく…
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