諸行無常の世の中…
我は北条泰時(ほうじょうやすとき)が妹、竹子(たけこ)です。
(この時点では泰時は頼時(よりとき)と名乗っています。)
京・六波羅にある源頼朝(みなもとのよりとも)様の館が火矢に襲われ、火が広がる寸前、百姓姿の女が火を消し止めました。
その女を見て政子(まさこ)様は…
政子「そなたは……」
頼時「叔母上の知ってる方ですか?」
政子は思わず名前を言いそうになりましたが、グッと堪えました。
政子「これは私に仕える輝(てる)と言う者です。」
頼時「先ほど瞬時に水をかけた動き、普通の侍女とは思えませぬが…」
政子「輝は…忍びなのです。だから動きが早いのですよ。」
そこへ頼朝様の家臣が入ってきました。
家臣「御台様、鎌倉殿が何の騒ぎかと心配されております。」
政子「うむ、大事ない…頼時、殿に騒ぎのことを説明しに行っておくれ。」
頼時「はい、では」
頼時は頼朝様の家臣と頼朝様の寝所に向かいました。
政子「…ふぅ、あやうくそなたの名を言ってしまうところでした。とりあえず輝と言う名をとっさに言ってしまいました。…久しぶりですね、光(ひかり)」
光「お久しぶりです。政子様…」
政子「いつ京へ?」
光「はい、先ほど来たばかりです。至急政子様のお耳に入れたいことがごさいます。」
政子「至急…何ですか?」
光「鎌倉の御家人の中で頼朝様が上洛するのを面白からずと思っているものがおりまする。先ほど火矢を放った者は御家人の刺客と思われます。」
政子「なんと⁈ 殿を暗殺しようと企むものが鎌倉にいるのですか?それは誰ですか?」
光「はっきりとしたことはわかりませぬ。されど…御家人らは朝廷に擦り寄る頼朝様を皆、冷めた目で見ております。」
政子「殿は大姫(おおひめ)の為にやっておるのに…」
政子「光、御家人らをしかと見張っておくれ…それと頼時の前では光でなく輝と呼びますね。」
光「はい、あの子と別れたのは生まれたばかりの頃……気づいてはないようですね。」
政子「光には苦労をかけます。」
この騒動は犯人がわからずじまいでした。
頼朝様は大姫様の入内もうまくいかず、自らの命を狙われてると知り、鎌倉へ帰ることにしました。
頼時も一緒に鎌倉へ帰還することになり、ほっとした様子でした。
鎌倉へ帰り、しばらくは何もない平穏な日々が続きました。
しかし…頼朝様や政子様にとって辛いことが起きたのです。
それは大姫様が重病に陥ったのです…。
つづく…
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