世は群雄割拠の戦国時代。
わしは北条氏康(ほうじょううじやす)です。
1557年の春、小田原城(おだわらじょう)に武田氏(たけだし)からの使者が来たました。
わしは使者から武田晴信(たけだはるのぶ)の書状を渡されました。
武田と北条は今川氏(いまがわし)も含めて三国同盟の関係にあったんだよ。
その場には家臣の清水吉政(しみずよしまさ)もいました。
吉政「御館様、晴信殿はなんと?」
氏康「援軍の要請じゃ。武田は今、川中島(かわなかじま)周辺で越後の長尾景虎(ながおかげとら)と戦っておる。」
武田の使者「越後の軍勢は北信濃の武田の諸城を次々と落としておりまする。ぜひ同盟の北条様に援軍を賜りたいと我が主人の願いです。」
氏康「…うむ。晴信殿には了解したと伝えてくれ。直ちに兵を送ると。」
武田の使者「ありがとうごさります。では早速立ち戻り、我が主人に伝えます。」
武田の使者は意気揚々と帰っていきました。
吉政「御館様、援軍とは誰を大将に送るのですか?」
氏康「決まっておる。綱成(つなしげ)が此度の北条の大将じゃ。綱成に景虎を見てきてほしいのだ。」
吉政「綱成殿に?」
氏康「うむ。此度の戦いで景虎が生き延びれば、いずれは我が北条と戦うことになるだろう。それに備えておくのだ。」
わしは河越城(かわごえじょう)にいる綱成に使いとして小太郎(こたろう)を出しました。
小太郎から援軍の命を聞いた綱成は、
綱成「援軍の命、承った。」
小太郎「越後の軍勢の動きをよく見てくるようにと御館様の命です。」
綱成「うむ。御館様の意図はわかっておる。自らを毘沙門天(びしゃもんてん)の化身という景虎をこの目で見れるのだから、これは好機だな。」
小太郎「私は地黄八幡(じきはちまん)の綱成様との戦いを見てみたいですが…。」
綱成「ふふっ、此度は援軍だ。しかし生き延びれば、いずれはその時も来るだろう。」
綱成さんは八幡大菩薩(はちまんだいぼさつ)を崇拝しているんだよね。地黄八幡は直八幡、つまり自らをら八幡の直流だってアピールなんだよ。
綱成は里見氏(さとみし)の抑えとして、自らの長男、康成(やすしげ)を置いていきました。
1557年4月より長尾景虎は善光寺平(ぜんこうじたいら)に本陣を置き、武田の諸城を落としていたのです。
6月、綱成率いる北条軍は信濃国の上田に着陣したのです…。
つづく…
次回をお楽しみに〜
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