私は北条早雲(ほうじょうそううん)の子・幻庵(げんあん)です。
(早雲は伊勢早雲(いせそううん)と名乗っています。)
早雲「わしは家督を氏綱(うじつな)に譲ろうと思う。」
上総国の真里谷氏(まりやつし)の援軍に氏綱を出し、韮山城(にらやまじょう)に戻っていた早雲は正室の陽子(ようこ)にそう語ったのです。
早雲「わしは85だ。もう戦に出るのも辛い。それにいつ迎えが来るかもしれん。」
陽子「殿、滅多なことを言わないでください。」
早雲「氏綱は立派になった。此度の遠征も無事に勤めてくるであろう。家督を継ぐに心配はない。ただ…。」
陽子「ただ?」
早雲「わしは我が家のために家訓を残そうと思う。分国法だな。」
早雲は分国法の構想に着手し始めたのです。この分国法が「早雲寺殿廿一箇条」(そううんじどのにじゅういちかじょう)になるのです。
一方で早雲は頻繁に領地内の見回りを行いました。
領地を見回る早雲に田畑で働く民は親しみを持って声をかけていました。
「御館様、お帰りなさい!」
「御館様のおかげで米を安心して作れます。」
「この採れたての大根、食べてくだされ。」
早雲は目を細め、民を見ていました。
早雲「わしに従ってくれた民、氏綱も同じように親しみを持ってほしいものだ。」
小太郎(こたろう)「御館様、氏綱様は在番をしている小田原城(おだわらじょう)の城下の民に慕われているよ。民を大切にすることを大事に考えてるから心配ないよ。」
早雲「そうか、小太郎、よく教えてくれた。」
翌1517年、氏綱は上総国の遠征を終え戻ってきました…。
つづく…

