私、足利義満の娘・智子です。
富士遊覧の夜の宴に兄・義教を矢で襲うとした刺客は何者かに阻まれ逃げました。
私は刺客の後を追いましたが、暗闇に消えてしまいます。
すると、何やら気配が…!
「智子様ですね…。」
とっさに刺客を阻んだ影と思いました。
私「あなたは…上杉憲実殿の?」
その影は姿を現しました。
「お察しのとおり、関東管領・上杉憲実の配下で虎羅(とら)と申します。」
私「やはり憲実殿が手を回していましたか。では先の刺客は持氏殿の…。」
虎羅「はい。我が殿は万一を考え私を出したのです。刺客は逃げましたが持氏様の刺客に間違いありません。」
そういうと虎羅は矢を私に渡しました。それは刺客の矢でした。
私「この矢が証拠?」
虎羅「いえ、矢には証拠能力がありません。しかし私が調べた結果、あの者が持氏様の刺客とわかりました。」
私「さすがですね。私の正体を調べたのもあなたですね?」
虎羅はニコっと笑顔を見せると去っていきました。
宴は何事もなかったかのように盛り上がっていました。
翌日、私は義教に昨日のことを報告しました。
義教「そうか。やはり持氏が手を出そうとしていたか。狙われている気配は感じでいたが…。」
義教は暗殺の気配を感じていたのです。
私「はい。しかし刺客が逃げた以上、証拠がありませぬ。」
義教「よい。それより憲実がわしを守ったことは今後に期待できる。」
私「兄上、この先はいかがなされます?」
義教「わしは京へ戻る。持氏はいずれ討つことになるだろう。智子、そなたも大儀であった。」
義教は無事、富士遊覧を終え京へ戻りました。私は憲実殿に会うべく鎌倉へ向かいました。
憲実殿は鎌倉の居館に居ました。
私「憲実殿、此度はありがとうございました。」
憲実「礼には及びませぬ。私は武力を使った争いを止めたかっただけです。」
私「あの刺客は?」
憲実「持氏様に処分されたと思います。智子様はこれから京へ?」
私「はい。」
憲実「また、お会いしたいですね…。」
そういう憲実殿はどこかしら寂しげでした。
京へ戻った義教は九州平定に動きました…。
つづく…