私、足利尊氏の妻・登子です。
南朝方の楠木軍と戦う準備をしている中、私に会いたいという人物がいると間者の茜が告げてきました。
私「私に会いたいとは誰ですか?」
茜「それは…楠木正行様です。」
私「! えっ⁈ 正行殿が!」
茜「はい。楠木方の間者を通じて御台様に会いたいと言ってきました。」
私「…わかりました。」
茜「では今夜連れてまいります。」
私は驚きました。まさか足利の館に敵の大将がくるとは…。
その夜、楠木正行殿が来ました。
正行「お目にかかれて光栄です。楠木正行です。」
私「登子です。まさか敵陣の大将がくるとは驚いています。」
正行「戦に入る前にぜひ御台様にひと目お会いしたかったのです。」
私「なぜですか?」
正行「御台様は湊川の合戦に赴く父・正成に危険をかえりみず会いにきてくれました。父は御台様の勇気に感服したと私に語りました。そんな御台様にお会いしたかったのです。」
私は「湊川の戦い」の前に正成様に会いにいきました。夫と共に良い世を作ってほしかったからです。
私「足利と戦うのですか?足利は大軍ですよ。和議はできませんか?」
正行「私は父から湊川の合戦の前に言われました。忠義の心を忘れず帝のために尽くせと…。」
私は父正成様の心を受け継いだ正行殿の固い決意を感じました。
正行「戦の前に御台様にお会いできてよかったです。御台様の和平の気持ちを感じました。」
正行殿は去っていきました。正行殿も正成様と通じるものを持っていたと私は思います。
1348年1月、河内国四條畷で高師直、師泰率いる足利軍と楠木軍は激突します。
六万の足利軍に楠木軍は三千。足利軍の圧倒的な兵力の前に楠木軍は敗れ、正行殿は自害しました。
楠木軍に勝ち、勢いにのった師直はこの後、とんでもない行動にでます…。
つづく…
