1334年護良親王様が皇位簒奪を企てたと捕えられました。
京よりの報では護良親王様が皇位簒奪を企てたと後醍醐天皇様に伝えたのは阿野廉子様、さらに阿野廉子様にそれを話したのは夫だというのです。
私は驚きました。夫の真意がわからず私は困惑しました。
真実を知りたい。
私はそう願いましたが、思ったより早く知ることができました。
護良親王様は夫の元に身柄を預けられ、その後、鎌倉に流罪となりました。
護良親王様から真実を聞こうと私は思い、夫の弟・直義殿にお願いして会わせてもらうことになりました。
私は護良親王様のいる東光寺に行きました。
私「足利尊氏の妻、登子と申します。」
護良親王「おおっ、足利家の御台か。私が護良だ。」
私「今回のことは残念に思います。ただ、私は本当のことを知りたくて…。」
護良親王「尊氏はさすが武家の棟梁と言うべき人物だ。私は尊氏を討とうとしたが、今は討たなくてよかったと思っている。」
私「夫とお会いになったのでしょうか?」
護良親王「うむ、鎌倉へ来る前にな。私は北条の悪しき政(まつりごと)に代わり我が父、帝が行う政のために太刀を取った。北条を倒したが、武士が集まる足利を警戒したのだ。」
私「それで夫を狙ったと?」
護良親王「私の配下のものがいろいろと動いていたが私は正面から足利に挑むつもりだった。だが…父の命でこの有様だ。」
私「夫が阿野廉子様に密告したと聞きましたが…。」
護良親王「それは廉子の讒言だ。廉子が自らの欲望のために嘘を帝に伝えたのだ。」
護良親王「尊氏と会って尊氏という人物がよくわかった。見よ!今の世を!帝の政では良い世はできない。尊氏ならできる!」
私「夫が?そんな恐れ多いことを…。」
護良親王「尊氏にも言っておいた。今のままでは武家は帝の元を離れて世は乱れる。尊氏の器量なら良い世を作れる、だから良い世を作れと!」
私「…」
護良親王「登子、尊氏が良い世を作れるよう支えるのだぞ。それがそなたの役目だ。」
私は夫が密告などしてなくて安心しましたが、護良親王様から大きな役目を頂き驚きました。
護良親王様から頂いた夫が良い世を作るために支える役目は亡くなった兄・赤橋守時が残した言葉と同じだったのです。
私も、そして夫も身の引き締まる思いです。
同年、私の間者・茜より驚く報が入りました。
ついに…北条氏の残党が動きだしたのです。
つづく…
