私、足利高氏の妻・登子です。
夫が京の六波羅探題を陥落させた頃、私は鎌倉から脱出し三河国の山中の寺にいました。
鎌倉では私と息子の千寿王が脱出したことで足利氏が謀反を起こすと判断しましたが、時すでに遅かったようです。
足利氏が反旗を翻したことで鎌倉では天地がひっくり返るような大騒ぎだったようです。
私は兄・守時のことが心配でしたが、この時、守時は謹慎していました。
この頃、私の間者の茜は情報を得るため各地を走り回っていました。
茜は兄・守時から足利を見張るために遣わされた間者でしたが、夫に見破られました。
夫は茜を殺すことはなく、逆に間者として仕うようになったのです。
茜は私の侍女としても良い働きをしてくれ、間者としても一流でした。
そんな茜が夫からの伝言を持って私のところへやってきました。
茜「御台様、上野国で新田義貞様が挙兵されます。」
私「新田様が鎌倉を攻めるのですか?」
茜「左様にございます。新田様の軍に残っている足利の軍も加わります。その足利の軍に殿の名代として千寿王様を参加させよと殿の命でございます。」
私「なんと⁈幼い千寿王が足利軍の大将にですか!」
茜「千寿王様には足利家の家臣が付いておりまする。」
私の心は複雑でした。幼い千寿王の身を案じるとともに、足利軍が鎌倉を攻めるとは…兄・守時と戦うこともあるからです。
私はこの状況の中で夫に逆らうことはできず、千寿王を出陣させました。
一方、新田義貞様は上野国の生品明神で挙兵しました。
挙兵した時の新田様の軍勢はわずか150騎でした…。
つづく…
