私、登子です。
私の夫になる高氏が元服した頃の幕府は腐敗してかかっていました。
諸国では悪党と呼ばれる既存体系に反抗した者らが活発になったり、奥州で「安藤氏の乱」が起きたり世情不安でした。
「安藤氏の乱」は元は安藤氏内部の家督争いでしたが、事もあろうに仲介に入った北条得宗家の被官・長崎高資様が争う双方に裁定を有利にするからと賄賂をもらっていました。
幕府は内部からも腐敗していました。
兄・守時は
「このまま長崎殿の思うままにしていたら幕府は滅びる。なんとかせねば…」
と思い悩んでいました。
こんな時、鎌倉では流鏑馬(やぶさめ)が行われました。
なぜか兄・守時は流鏑馬を見にくるように勧められました。
そこで矢を全て当てた若い武者がいました。
歳も私と変わらないくらい武者でしたが馬上での弓矢の技術は素晴らしいものでした。
私は流鏑馬が終わった後、守時に感想を聞かれました。
私「皆、素晴らしい技ですね。特にあの若い武者の方はあの若さであの技、素晴らしく感じますね」
守時「登子もそう思ったか。」
私「あの若い武者はどなたですか?」
守時「…あの武者は足利高氏殿だ。」
これが私と夫の初めての出会いです。
私はこの時、既に夫に心惹かれていました。
今思うと…守時は夫を見せるために流鏑馬を見にくるように誘ったのですね(笑)。
守時は足利氏と縁を結び足利氏の力を借りて幕府を立て直そうと考えていたようです。
この頃、京ではとんでもないことが起きていました。
それを起こしたのが時の帝・後醍醐天皇様です。
私の夫は後に後醍醐天皇様に深く関わっていきます。夫の人生を変えるほど…。
つづく…


