私、登子です。
1317年に私の夫・尊氏の兄上様高義様が亡くなりました。
この時、夫はまだ元服前でした。
足利氏の当主には父上様の貞氏様が再び付きました。
今、思うと高義様がご存命であれば私は夫に嫁ぐことはなかったのでしょう。
夫には1歳下の弟がいます。私とは同い年になりますね。
それが後の直義殿です。
夫と直義殿は母上様も同じで、幼少の頃より、とても仲の良い兄弟でした。
直義殿はとても真面目な方で潔癖でもありました。
1319年に夫は元服します。
従五位下の位で治部大輔に任じられました。
そして時の執権で北条得宗家の北条高時様の諱を頂き、足利高氏と名乗りました。
この頃の幕府は得宗家の被官・長崎様に権力が集まっていました。
とくに長崎円喜様の子・高資様はその権勢を欲しいままにしていました。
執権・高時様は闘犬や田楽…遊んでばかりでした。
幕府は腐敗しかかっていたのです。
私の兄・守時はなんとか幕府を立て直そうとしました。
それが…
つづく…

