世の中には奇特な人がいるものです。シャンパンの泡について、詳しく研究している学者がいます。
ジェラール・リジェ・ベレールというフランス・シャンパーニュ地方にあるランス大学の物理学の先生です。シャンパンのシャンパンたる所以は泡にあります。
第23回は「シャンパンの泡・その1」についてです。
チャレンジしてみて下さい。
ℚ1.シャンパンボトルの中のガス圧はどれ位でしょうか?
① 2~3気圧
② 3~4気圧
③ 4~5気圧
④ 5~6気圧
ℚ2. シャンパン100mlには1.2gの二酸化炭素があります。このときできる泡の数はどれくらいと想定されるでしょうか?
① 約1万
② 約10万
③ 約100万
④ 約1000万
ℚ3. シャンパンの泡について誤っているものはどれでしょうか?
① 綺麗なグラスでは泡は立たない
② 泡はグラスの内側表面から発生する
③ 立ち上る泡の大きさは、発生直後と液面に到達時ではほぼ同じ
④ 泡の成分は二酸化炭素だけはない。
答えは、
ℚ1:④ 5~6気圧
ℚ2:③ 約100万
ℚ3:③ 立ち上る泡の大きさは、発生直後と液面に到達時ではほぼ同じ
【解説】
シャンパンには二酸化炭素が溶けています。瓶の中のガス圧は5~6気圧。他のスパークリングワインと比べても高いガス圧です。水深50mの水圧、もしくは、自動車のタイヤ圧力の3倍もあります。
炭酸ガスはどれくらいの量があるのでしょうか?シェラール氏によれば、100mlのシャンパンには1.2gの二酸化炭素があります。全部が泡として立ち上るとすると泡の数は110万個にも及ぶそうです。この泡は平均の直径0.5mmの球形としての計算です。
私たちはグラスに次いだら泡は立つものと思っていますが、必ずしもそうではありません。もし半導体を造るようなチリ一つないクリーンな部屋で造られたグラスに注がれたら泡は立たないというのです。
なぜか?それは泡が立つのは泡が立つ起点ともいえる「エアポケット」がグラスの内側にあるからだそうです。
シェラール氏によれば、100mlのシャンパンには1.2gの二酸化炭素(以下CO2という)があります。全部が泡として立ち上るとすると泡の数は110万個にも及ぶそうです。
このエアポケットの中の空気は盛んに液に溶けているCO2を取り込み、泡になり次第に大きくなっていきます。そして一定の大きさになると立ち上っていきます。
泡が最初にできるエアポケットで最初にできる泡の直径は0.2μm(0.0002㎜)程度、液面に到達するころには1~数mmとなっていますから、1000倍にもなります。
また、泡が運ぶのはCO2だけではありません。一部のアルデヒドというものや有機酸があります。これらは香りの成分ですが、泡の表面につきます。そして泡とともに液面まで運ばれます。
ご興味のある方は、「シャンパンの泡研究、泡の数・大きさ、立たない泡、香りを運ぶ泡」・・・「シャンパンの表と裏側②」⇒こちらをご覧ください。
詳しく解説しています。