昨日、ブログで「ペイオフ」について書いた。

銀行に1000万円を超える預金を置く場合、預金保険制度のことを考える必要があるという話だ。

そこで、ふと思った。

「これってマンションの管理組合にも当てはまるのではないか?」

マンションの管理組合には、修繕積立金という大きなお金がある。

マンションの規模によっては、修繕積立金が数千万円、場合によっては1億円を超えるところもあるだろう。

このお金をどう運用するか。

実は、結構難しい問題だと思う。

管理組合のお金で株式投資はできるのか?

個人の資産なら、

「余裕資金だから株式投資をしよう」

という選択もできる。

しかし、管理組合の修繕積立金となると話は違う。

これは区分所有者みんなのお金。

しかも、将来の大規模修繕などに使うことが決まっているお金だ。

株価が大きく下落して、

「修繕工事の直前に半分になりました」

では、とても理事会として説明できない。

投資信託なども同じだ。

いくら長期投資が有効だと言われても、管理組合のお金で値動きのある商品に投資することには、かなり慎重にならざるを得ない。

私なら、管理組合の修繕積立金については、基本的に元本割れの可能性がある金融商品は避けたいと思う。

では、定期預金なら安心?

そこで考えられるのが定期預金。

株式や投資信託と比べれば、ずっと安全そうに見える。

実際、マンションの修繕積立金は現預金で運用されているケースが多い。

国土交通省の資料でも、修繕積立金の運用はほとんどが現預金で行われているとされています。

しかし、ここで昨日の「ペイオフ」の問題が出てくる。

例えば修繕積立金が1億円あったとして、それを一つの銀行に定期預金として預ける。

金利が良ければ、それなりの利息も期待できる。

でも、

「その銀行が破綻したら?」

と考えると、ちょっと怖い。

個人の場合と同様に、預金保険制度には保護の範囲がある。

つまり、「定期預金だから絶対安全」というわけではない。

1億円という大きなお金になると、この問題はかなり現実的になる。

そこで「国債」が出てくる

そんなことを考えていると、次に候補として出てくるのが国債だ。

銀行に預けるのではなく、日本国が発行する債券を購入する。

国債なら、銀行そのものに預けるのとは違う。

しかも、満期まで保有することを前提にすれば、株式のような大きな価格変動を気にせず運用することができる。

もちろん「国債なら絶対安全」と単純に言うつもりはない。

金利が変動すれば市場価格は変わるし、満期前に売却すれば購入時より価格が下がる可能性もある。

だからこそ、修繕工事の予定時期と国債の満期を合わせるなど、資金計画が重要になる。

「使う時期」が分かっているお金だからこそ

ここが管理組合の修繕積立金と個人の資産運用との大きな違いだと思う。

修繕積立金は、

「いつか使うかもしれないお金」

ではなく、

「長期修繕計画に基づいて、将来使う可能性が高いお金」

だ。

だから、

「いくら儲かるか」

よりも、

「必要な時に、確実に使えるか」

のほうが重要になる。

例えば、5年後に大規模修繕で5000万円必要なら、その時に5000万円を確保できるようにしておく。

10年後に使う予定のお金なら、10年という時間を利用して運用を考える。

こういう発想が必要なのではないだろうか。

個人向け国債は管理組合でも買えるのか?

ここで一つ注意したい。

よく耳にする「個人向け国債」は、その名の通り個人向けの商品。

財務省によれば、個人向け国債は原則として個人だけが購入できる商品なので、管理組合がそのまま購入できるとは限らない。

つまり、

「管理組合の修繕積立金1億円を個人向け国債に入れればいい」

という単純な話ではない。

管理組合の場合は、法人・団体として購入可能な国債やその他の金融商品について、金融機関などに確認する必要がある。

さらに、管理規約上、どのような運用が認められているのかも確認しなければならない。

国土交通省の現在のマンション標準管理規約では、修繕積立金の使途として「修繕積立金の管理及び運用」が明記されている。

とはいえ、実際に何へ投資するかについては、管理組合として慎重にルールを決めておく必要があるだろう。

「増やす」より「減らさない」

私は、マンション管理組合の修繕積立金については、

「運用で儲けよう」と考えないほうがいい

と思っている。

1億円を1.5億円にすることが目的ではない。

将来必要になる修繕費を、できるだけ安全に確保する。

そのうえで、銀行の定期預金より少しでも有利な運用方法があるなら検討する。

そのくらいの考え方がちょうどいいのではないだろうか。

そして大切なのは、理事会の一存で決めるのではなく、

「なぜこの金融商品を選んだのか」

「いつ使うお金なのか」

「途中で換金する必要はないのか」

「元本割れの可能性はないのか」

などを区分所有者に説明できること。

管理組合のお金は、理事長や理事会のお金ではない。

区分所有者全員のお金だからだ。

マンション管理も「資産運用」の時代?

定年後、中小企業の総務部長をやっていると、会社のお金の管理について考える機会が多い。

そして、マンションの理事をやっていると、今度は管理組合のお金についても考えることになる。

会社でも管理組合でも、基本は同じ。

「大きく増やす」よりも、

「必要な時に必要な金額を確保する」

ことが最優先。

そのうえで、余裕資金をどう運用するかを考える。

修繕積立金が1億円あるマンションなら、金利が0.5%違うだけでも年間50万円の差になる。

そう考えると、単に普通預金に置いておくだけではなく、

「このお金をどう管理するのが一番いいのか?」

と考える価値は十分にある。

ペイオフ対策として銀行を分散するのか。

定期預金を使うのか。

国債を検討するのか。

あるいは住宅金融支援機構の「マンションすまい・る債」など、マンション管理組合向けの制度を利用するのか。

選択肢はいろいろある。

私のマンションでも、今後、修繕積立金の運用について考える機会があるかもしれない。

その時には、

「安全性」「収益性」「換金性」

の3つをしっかり比較してみたいと思う。

マンションの修繕積立金。

ただ銀行に置いておくだけではなく、「どう守るか」を考えることも、これからのマンション管理には必要なのかもしれない。