東北は「道の奥の国」と言われた。
そこから「みちのく」という呼び方も生まれた。
福島県南端の白河を越えて北上して行くと、
そんなことを実感できますね。
平安時代の頃までは中央の支配が及ばずに、
まるで独立国だったらしい。
だから、仏教もいわゆる官制の寺が建てられたのは比較的新しいそうだ。
そんな中で山形の立石寺(りっしゃくじ)はかなり古い。
天台宗の三代目座主の円仁が860年に建てたと言う。
天台宗本山、延暦寺の別院という位置づけで、
「未開の東北」の人材育成と生活向上を目指したそうだ。
一時は数100もの坊があって、
1,000人もの僧が修業をしたと言う。
この寺は山寺という愛称でも呼ばれていて、
入口近くの駅はずばり山寺。
駅から見上げる立石寺は、まさに山寺そのもの。
ちなみに立石寺という建物はなく、
この山全体をそう呼ぶそうだ。
松尾芭蕉は1689年に「奥の細道」の旅に出たが、
その年の7月の夕方にこの寺に登ったそうだ。
そのとき詠んだのがこれ。
「閑(しず)かさや岩にしみ入る蝉の声」
夏の夕暮れに聞こえるやかましいばかりの蝉の声を、
芭蕉はそのとき聞いたのでしょうね。
私が行ったのは10月だったから、
残念ながらその追体験はできなかった。
寺に登って下を見るとこんな感じです。
駅から見上げたときの逆さまの眺めですね。
山の一番奥には如法堂と言う奥の院がある。
1,100段もの階段を登って、ようやくここに辿り着く。
その間に開山の円仁にちなむ堂など、
興味深いものがいっぱい。
それらを堪能していよいよ下山。
帰りは楽だ。
降りたところに丁度いい具合にそば屋があるではないか。
「たていし」というその店は流しソバが名物らしい。
迷わず入る。
ビールをやりながら、
やや上の方から流れ落ちてくるソバを掴まえる。
満足! 満足!


