学習課題を提示することの重要性については「準備・片付けは児童が行う!体育における『責任』の指導」で述べました。私は,学習課題の提示だけでなく,更に学習評価についても明示して本時の学習に入るようにしています。その理由は,以下の通りです。

 

 

 

 

 

①教師と児童が本時のゴール(何ができれば本時の学習課題が達成したのか)を共有できる。

 

②何が身に付いたら「おおむね満足できる(B)」状態なのかを児童が分かる。

 

③児童が学習活動と学習評価をつなげられる。

 

④「何が身に付いたか。」を児童が自覚し,主体的な学びが生まれる。

 

⑤学習課題と学習評価をつなげて振り返りができる。

 


 

 

 

 

私は,写真にある三つの資質・能力の掲示物を各教科の学習において必ず黒板に貼って児童に示すようにしています。例えば,社会「あたたかい土地のくらし」では,【知識及び技能】のカードを黒板の右端に貼って,[あたたかい気候にあった作物の栽培と農家の工夫や努力についてまとめている。]と示しています。算数「小数の倍」では,【思考力,判断力,表現力等】のカードを黒板の右端に貼って,[小数倍の意味について図や式を用いて考え,説明している。]と示しています。

 

 

 

 

 

 

 

三つの資質・能力の掲示物を黒板に貼って,学習評価を明示する詳しい理由については,以下の通りです。

 

 

 

①は,児童が「この時間は,○○が身に付けば学習課題を達成できたんだ。」と明確にするためです。学習課題を児童に提示しただけでは,「結局,今日は何ができればよい授業だったのだろう。」「先生は何を求めているのだろう。」という反応が見られることがあります。学習活動に取り組ませるだけではなく,どの場面においてどのような記述をしていれば本時の学習課題を達成したといえるのかまで明確に示すことで,「よし,今日は~を・・・できるように頑張ろう。」という児童の姿につなげることができます。

 

 

 

②は,①を更に細かく児童に伝えて,児童自身がBを目指すかAを目指すかを選択できるようにするためです。1時間の学習において,教師は,全員の児童が「おおむね満足できる(B)」状態になるように指導します。重要視されるのが,努力を要する児童(C)への手立てですが,私は,「十分満足できる(A)」状態も明確に示さなければならないと考えています。「Bの延長戦にAがあって,何となくAだね。」では,児童や保護者への説明責任が果たせません。そこで,「おおむね満足できる(B)」状態を黒板の右端に示しながら,「十分満足できる(A)」状態を口頭で伝えた上で,本時の主な学習活動に入るようにしています。

 

 

 

③は,教師が学習活動と学習評価をつなげるだけではなく,児童自身が学習活動と学習評価をつなげることができるためです。学習課題を達成するために学習活動に取組み,その結果,「何ができるようになったか。」「何が身に付いたか。」を児童自身が分かるようになります。

 

 

 

④は,「何が身に付いたか。」を児童自身が自覚することで,「今日の授業は楽しかったな。自分で課題を解決できて,達成感があったな。」「早く次の学習を行いたいな。次の学習では,~について・・・を使って解決していこう。」という児童の姿につながるためです。実際に,今年度の児童も三ヶ月が過ぎて,「何のために学習するかが分かって楽しい。」「今まではテストの点数だけ取れば良かったと思っていたけど,授業が大事なことが分かった。」「次の社会の学習では,Chromebookを使って野菜がどこで多く生産されているのか調べたいです。」という反応を示すようになってきました。

 

 

 

⑤は,各教科授業の終末の場面における振り返りが「~ができてよかったです。」「今日の学習は楽しかったです。」という質の低いもので終わらせないためです。振り返りにおいて,黒板の右端に三つの資質・能力のカードが示されているので,学習活動の中からどのように自身が取り組んで,その結果,どんな力が身に付いたかを児童が振り返ることができるようになります。「今日の社会の学習では,自分で疑問を書いて,学習問題をつくり,予想と学習計画を立てることができたので態度が身に付きました。」「今日の算数の学習では,前の時間に学習したことを生かして数直線から立式し,考えを説明することができたので,思考・判断・表現が身に付きました。」という児童の姿につながります。

 

 

 

※写真に示した三つの資質・能力のカードが「知識及び技能」「思考力,判断力,表現力」「粘り強く取り組む態度・振り返って間違いを修正する態度」という言葉なのは,できるだけ児童に分かりやすい言葉で三つの資質・能力を示したいと考えたからです。周知の通り,正確な言葉は「目標」は「知識及び技能」「思考力,判断力,表現力等」「学びに向かう力,人間性等」です。「評価」は「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」です。

 

 

この実践を続けていくと,このような児童の姿が見られるようになります。

 

 

 

先行実践・参考文献

なし