小学校学習指導要領解説体育編には,陸上運動の内容のまとまりだけに示されている目標があります。それが,「思考力,判断力,表現力等」のイの記述です。陸上運動の「第3学年及び第4学年」,「第5学年及び第6学年」の「思考力,判断力,表現力等」のイには以下の記述があります。
「第3学年及び第4学年」・・・友達との競走(争)の仕方を考え,競走(争)の規則や記録への挑戦の仕方を選ぶこと。
「第5学年及び第6学年」・・・自己の能力に適した競走(争)のルールや記録への挑戦の仕方を選ぶこと。
この記述を受けて実際の授業においてどのように学習課題を提示し,どのような学習活動の中からどのように学習評価を見取るかを明確にすることが,とても重要であると考えます。しかし,この陸上運動の「思考力,判断力,表現力等」イについて詳しく示された文献は今のところ見たことがありません。したがって,自身の実践を紹介していきます。
まず,「競走のルールや記録への挑戦の仕方」という記述を私は得点制のことと捉えました。陸上運動は,運動の得意な児童は,「やったー!タイムが○秒から□秒に上がった!!」「前回よりも○m記録が伸びた!」と達成感を得ることができます。しかし,運動が苦手な児童は,「また記録が下がった。」「皆の前で記録を測られて嫌だな。」となる恐れがあります。そこで,リレーのタイムや走り幅跳びの最初と最後の記録の測定以外は,「この線を越えたら○点」や「□秒だったら○点」という得点制にするようにしています。ここまでが教師が単元前に考えておくべき「競走のルールや記録への挑戦の仕方」だと考えます。
次に,学習課題で「自己の能力に適した競走のルールや記録への挑戦の仕方を選ぼう。」と児童に提示したときに児童のどのような学習活動からどのような学習評価を見取るかについてです。児童が「『自己の能力に適した』競走のルールや記録への挑戦の仕方を選ぶ」ためには,継続的に記録を計測したり得点に触れたりしている必要があります。そして,突拍子もない目標を設定することがないように積み重ねて指導していることが大切です。更に,「挑戦の仕方を『選ぶ』」ということは,児童がどう挑戦すべきか前時までにたくさんの選択肢を理解していて,その上で目標に合った挑戦の仕方を「選ぶ」という思考をしていると捉えます。したがって,私は学習課題の確認をした後に「じゃあ,これまでの記録を基に今日はどのように目標を設定しますか。更に,その目標を達成するためにどのように1時間取り組みますか。少し時間を取りますので考えてみましょう。」という発問をします。すると,「今日のリレーでは,3秒縮めます。前時は,2走と3走のところでバトンパスが詰まってしまったのと,4走と5走のところで腕が低くてバトンの滑らかな受渡しができなかったので,そこに気を付けて練習します。」「今日の走り幅跳びでは,記録を30cm伸ばしたいです。前時は,踏切がズレてしまい,膝が高く上がらなかったので,今日は,踏切を合わせて膝を高くするように練習します。」などの発言が出てきます。発言で見取れない場合は,学習カードに記述すれば,児童一人一人がどのような目標を設定し,どのように記録への挑戦の仕方を選んでいるかが分かるようになります。
・・・まとめると,
陸上運動の「思考力,判断力,表現力等」イは,
○教師が,得点制を意識しながら,継続的に記録を計測できる場を設定する。
○児童に目標とそのための取組を考えさせる時間を設定する。
が大切であると考えます。
先行実践・参考文献
なし
