2024年4月、スペイン・バルセロナへ向け、福岡を旅立った。
この日、電車に乗ってモンセラットの修道院に行くことにしていたが、天気は回復しない。
出発時には曇り空だったが、途中で雨も降りだした。
晴れていたのが初日だけだと思うとなんだか悔しい。
出発して2時間と少しで、モニストル デ モンセラット駅に到着。
ここで登山鉄道に乗り換える。
よくこんな急な坂が登れるなと感心していたら、アプト式の線路であった。
アプト式は線路の真ん中に歯車のついたレールを設け、機関車のギアとこの歯車をかみ合わせることで急な坂を登る方式である。
しかし、山を登ってゆくにしたがって、周りが霧で真っ白くなる。
自分の頭の中も真っ白くなる。
本来なら、雄大な景色が眺められるはずだが残念。
登山鉄道を降りてモンセラット修道院の前に立つ。
しかし、全貌がつかめない。
入場チケットは事前に購入していたので、先に入場の手続きをする。
手続きを終えて出てくると少しだけ明るくなっている。
おぉ!霧がはれてゆく!
奇岩に寄りそう修道院がゆっくりと姿を現し始めた。
広がった風景に感心したあと、再度受付に戻る。
ミサが開かれているとのことで、まだ中には入れない。
30分ほど待ち、やっと入場となった。
聖堂の脇の通路を登ってゆく。
聖堂の正面にあたるところに、黒いマリア様がいらっしゃる。
右手の玉に手を置き、願いごとをすると叶うそうである。
日本にも同じような願掛けをするところがある。
文化は全く違うのに、不思議だと思った。
この黒いマリア様には次のような言い伝えがある。
昔、このあたりの鉱山で働いている人たちがいたが、その労働は辛いものであった。
そこへ知らない仲間がいつの間にか一人増えていた。
そのことで労働者たちは助けられた。
ある日、洞窟の中に黒いマリア様がいらっしゃるのを羊飼いが見つけた。
マリア様が黒く汚れていたことから、鉱山で働いていらっしゃたのだと、あの一人はマリア様なのだと皆は信じた。
そのようなことがあって、黒いマリア様のためにモンセラットに教会が建てられた。
チケットを買うときに、少年団の合唱を聞かせてもらえるものを予約していた。
その歌声を聴くため、聖堂へ向かう。
聖堂も厳かな雰囲気につつまれ、その時を待っている。
しんとした空気の中、少年たちが入場してくる。
そして、合唱がはじまる。
なんと表現したらいいのだろう。
その澄んだ歌声に背筋が伸びる思いがした。
合唱が終わって外に出てみると、青空まで出ていた。
この景色を見られて、また感動が新たになった。
さらにケーブルカーで上に登ることにする。
かなりの勾配だが、10分ほどで到着。
奇岩と修道院。
この景色を見たくてやってきた。
晴れていれば言うことがなかったが、よしとしよう。
モンセラットの「セラット」はノコギリという意味であるが、修道院の裏側であるこちらはまさにその通りである。
他にも多くの奇岩があり、そのスケールには圧倒される。
そろそろ帰らなければならない時間になったので、山を下る。
来たルートで帰路につく。
行きは真っ白で何も見えなかったモニストル デ モンセラット駅だったが、曇り空ではあるものの雄大な景色を眺めることができた。
明日こそは晴れてほしいと思った。









