深き眠りを妨げる者 | ある木版画家の気まぐれ日記

ある木版画家の気まぐれ日記

木版画家・吉田秀司のブログです。
板目木版と木口木版の2つの技法で作品を制作しています。
作品の話以外にも、たまに好きな映画のことも書いています。
取り扱い画廊 養清堂画廊(銀座)



タイトル : 深き眠りを妨げる者

技法 : 木口木版


この作品のアイデアは30年ほど前に見えたイメージから始まりました。

「カーテンの隙間から出た手が、眠りについた女性の頭に向かって伸びている」そんなイメージでした。

ただそれだけでは何かが足りず作品に出来ませんでした。


そして4、5年前にこんな夢を見ました。

目の前に現れた真っ黒い体の化け物。

頭はなく、とても長い腕と爪を持ったその手には、今もぎ取ったばかりと思われる、血が滴る長い髪の女性の生首がありました。

私は側にいた仲間と思われる人物と一緒に、その化け物を手にした銃で撃ちまくりました。

でも化け物の体はとても頑丈なゴムのような物質で出来ているらしく、弾は体にめり込んだ後、弾き返されてしまいました。

私は「こいつには絶対勝てない。このままだと殺されるぞ」と思い、仲間に「逃げるぞ」と声をかけたところで目が覚めました。


この夢がとても印象深く、記憶に残りましたので作品にしようかと考えたのですが、女性の生首を描くのは自分の主義としてはどうしても出来ず…。

どうすれば良いかとずっと悩んでいましたが、去年になって、「夢の中の化け物って30年前に見たあのカーテンから伸びてた手の持ち主なんじゃないか?」ということにやっと気が付きました。


そんな訳で、これら2つのイメージを合わせることでやっとこの作品が完成しました。


作品は以下のサイトからご購入出来ます。