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ACCESS、米パームソースを買収、荒川亨社長に聞く

ACCESS、米パームソースを買収、荒川亨社長に聞く――リナックス武器に海外へ。

2005/09/12, 日経産業新聞


豊富な応用ソフト魅力

携帯電話用ネット閲覧ソフト大手のACCESSが年内にも、携帯情報端末(PDA)用OS(基本ソフト)で知られる米パームソースを買収する。ACCESSの荒川亨社長(46)に狙いを聞いた。


 ――パームのどこに注目して買収したのか。

 「一つはリナックス技術を取り込むためだ。パームは携帯電話用OSで巻き返すため、OSをリナックスベースに変えつつある。携帯電話や情報家電分野では応用ソフトの種類が飛躍的に増えており、応用ソフト会社は開発のコストを抑え、期間を短縮するためオープンな開発環境を求めている。そのために選ばれているのがリナックスOSだ。携帯電話ではNECがリナックスベースのOSを採用、情報家電でも同じ動きがある」

 「もう一つの魅力がパームの持つ豊富な応用ソフトだ。文書作成から動画再生まで数万種類に上る。買収により、開発コストを下げたい端末メーカーにOSから応用ソフトまで一括提供できるようになる」


 ――今回の買収では米モトローラと最後まで競りあったようだが。

 「リナックスOSを開発するには高い技術が必要だ。足りない開発リソース(資源)の争奪戦が世界規模で起きている。パームが二月に買収した中国のチャイナ・モバイルソフトもリナックス技術が強み。実はうちも狙っていた会社だ」


 ――買収額は三百五十八億円。ACCESSの〇五年一月期の連結売上高百十三億円の三倍に当たる大型買収だが。

 「売上高の何倍の買い物という発想はない。意識すべきは株式時価総額。当社の時価総額は約三千億円だが、それに見合う姿に早く成長しないといけない。それには自前主義では時間が足りない。今回は当社にとって初の戦略的買収となる」


 ――投資回収の見込みは。

 「NTTドコモを中心とする国内勢に加え、韓国サムスン電子やソニーエリクソンなど海外顧客の獲得が進んでいる。当社のソフトの出荷は昨年の五千万本から今年は八千万本に伸び、来年には控えめに見ても二億本と急拡大が見込める」

 「その半分の一億本にパーム関連製品を搭載すれば、一本当たりロイヤルティーを四十―五十円として年間四十億―五十億円の利益が上乗せされる。買収額からパームの純資産を引いたのれん代は二百億円。五年で償却する予定で、それに見合う利益が確保できる計算だ」


 ――今後のスケジュールは。

 「独禁法や米証券取引委員会で問題にならなければ、早くて十二月初旬のパームの株主総会で合併が決まる」


 ――楽天による米ネット広告会社買収など、日本のネットベンチャーによる欧米企業買収が相次いでいるが。

 「日本の勝ち組ネット系企業は、高い予想PER(株価収益率)をテコに割安な欧米企業を買わない手はないと考えているのではないか。特にコンテンツ系は国内市場を食べ尽くすと海外に出るしかない」

 「今回の買収の目的は、足りない技術領域を埋めること。日本には買収対象がなく海外にあったということだ。買収により、急増する海外顧客へのサポート体制も整備できる。海外顧客への売上高はすでに全体の半分近くを実質的に占めるが、二年後には八割ぐらいに達すると見ている」

(福家整)


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日経産業新聞の 2005/09/12 の記事です.


NetFront を搭載する携帯電話(2億台)の半分に PalmSource のソフトを抱き合わせて搭載し,年間40-50億円のロイヤリティ収入の増加を見込んでいます.


さて,目論見通り行くでしょうか.


携帯電話を使っていて,一番便利なソフトはメーラ,ブラウザ,あとはカメラ(赤外線通信含む)くらいでしょうか.


PalmSource といえばPDA用のソフトが中心なので,あまり携帯電話とは相性が良くない気もします.


ソフトウェアのレパートリーを揃えたことがどれほど業績にインパクトを与えるのかな?


開発人員確保,Linux技術獲得だけでも十分なインパクトになると個人的には思っています.

ACCESSの中間決算発表

平成18年1月期中間連結決算短信

http://www.access.co.jp/ir/ir_tanshin/t050914_01.pdf

平成18年1月期中間決算概況

http://www.access.co.jp/ir/ir_tanshin/t050914_03.pdf


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2005年7月中間期連結決算

[東京 14日 ロイター]
2005年7月中間期(2005年2月1日-2005年7月31日)
05年度7月中間期 04年度7月中間期 05年度1月期実績
売上高 (百万円) 6,040 5,040 11,347 (+19.8%)
営業利益 (百万円) 1,006 698 2,272 (+44.1%)
経常利益 (百万円) 1,042 736 2,258 (+41.6%)
当期利益 (百万円) 627 442 1,567 (+41.8%)
1株利益 (円)   5,953.42 4,306.11 15,148.42
希薄後EPS (円) 5,582.78 4,174.75 14,759.52
営業活動CF(百万円) 978 1,394 1,489



数字的には順調そのものです.


しかし,第2四半期だけの業績に注目してみると,経常利益は予想レンジ以下.


また,前年同期費で,粗利益率も1.6%低下.(販管費の増加)


PalmSource 買収に伴うのれん代の会計処理方法も不明(未定?).


ということで,ACCESSらしくなく,ちょっと説明不足かなと思える決算発表でした.


まあ,中間決算を上方修正しているくらいなので,業績的には順調と見てよさそうです.

ACCESS,米パームソフトを買収

「当社子会社と米国PalmSource, Inc.との合併に関するお知らせ」

http://www.access.co.jp/ir/ir_news/n050909.pdf


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MSCBで調達した500億円を使ってどんな企業をM&Aするのか大変注目していましたが,対象がパームソースのようなメジャーな企業とはビックリ!


このM&Aの効果は次のような点であると考えています.


1. こなしきれないほどの受注をさばくために圧倒的に不足していた開発人員を補強できる.

2. パームソースのもつLinux技術,ソフトウェアポートフォリオを獲得し,情報端末に対してトータルなソフトウェアソリューションを提供できるようになる.

3. NASDAQ上場企業を買収することにより,ACCESSの知名度が海外で一気に高まる.NASDAQ上場の足がかりか?


ACCESSのNetFrontとパームソースのソフトウェアポートフォリオの有機的なシナジー効果はもちろん未知数で,358億円の価値があるかどうかを現時点で評価することは難しいです.モトローラと最後まで競ったことから,買収価格が約80%もプレミアを付けるところまでつり上がったことは容易に想像がつきます.


ACCESSの米国での売上もまだ少ないことから,すぐに買収効果が出るとも思えません.


しかし,将来携帯情報端末の有力なOSであるLinux技術のノウハウと,最も市場拡大が期待できる中国において約200名もの開発人員を確保できたことは,長期的にACCESSの業績に大きなインパクトを与えるでしょう.


ACCESSはこれまでOS技術をもたず,TRON,シンビアン,WindowsMobileなどのいわば相手の土俵の上で踊っていました.今回の買収でACCESSはLinuxという自分の土俵をもち,地に足をつけて自分の力で世界を動かす「権利」を得たことになります.


しかし,裏を返せば,これはシンビアンやマイクロソフトとがっぷり四つに組んで大きな勝負を挑むことを意味します.次なる成長ステージを目指して,ACCESSは大きな一歩を踏み出したと考えています.

インデックスへの投資理由

携帯電話をはじめとする情報端末全般を対象として,コンテンツ配信やモバイルサービスをトータルにサポートするコングロマリオットです.携帯情報端末向け総合サービス企業としてグローバルリーディングカンパニーになる可能性を秘めています.


ACCESSと同じく2001年に投資をはじめました.


当初の自分の想定シナリオ以上に事業の幅を広げ,想定以上の速さで成長しています.


[ 当初の投資理由 ]

1. モバイルコンテンツにとどまらず,携帯電話を用いた電子チケットなど,人間の社会生活をサポートするユビキタスサービスを実現するキーテクノロジーにいち早く着手していた.

2. 金づるだった出会い系サイトを閉鎖するなど,社会貢献を重視する落合社長の経営方針に感銘を受けた.


[ 現在の投資理由 ]

1. コンテンツ商社,コンテンツ配信企業,ユビキタスサービス企業など多様な顔をもち,将来性のある事業の幅と厚みを急速に拡大させている.

2. 大手企業との資本・業務提携を通じて,着実に信頼性と成長安定性を高めている.

3. 欧米,中国への海外展開を着実に進めている.

4. 落合会長の目利きとしての能力が非常に優れていると感じる.(着眼点に共感を覚える)

5. 落合会長の人柄が非常によく,スムーズに資本・業務提携を進めることができている.

ACCESSへの投資理由

携帯電話をはじめとする情報機器全般に広くブラウザを提供するソフトウェア企業です.PC以外の情報機器用の総合ソフトウェアベンダとしてグローバルリーディングカンパニーになる可能性を秘めています.


2001年にACCESSへの投資を始めました.


ここ4年間の同社の成長は,当初の自分の想定シナリオ以上の速さで進んでいます.


[ 当初の投資理由 ]

1. 将来氾濫するネット接続機能付デジタル情報機器のユーザインタフェースとしてブラウザが必須になると考え,i-mode 用ブラウザで実績のある同社が国内では最有力であると考えた.

2. ソフトウェアライセンスを収入源とする数少ない国内企業であり,収益構造が魅力的であった.


[ 現在の投資理由 ]

1. 世界有数の携帯情報端末用ブラウザメーカとしてとして,今後市場拡大の恩恵を最大限享受できる.

2. 携帯情報端末だけでなく,デジタル情報家電の市場拡大の恩恵も十分期待できる.

3. ブラウザだけでなく,OSまで含めたトータルソフトウェアベンダへの強烈な進化が期待できる.

4. 荒川社長の堅実性とチャレンジ精神に,経営者としての魅力を感じる.

Blogスタート!

国内新興ネット企業の中で,将来トヨタやソニーのような世界の超一流企業になりうると自分が考えている企業に現在投資しています.


新興ネット企業と言えば,ヤフー,楽天,ライブドアを連想する人が多いと思いますが,世界の超一流企業に成長しうるより大きな成長ポテンシャルを持っている企業が存在します.


その企業は「 ACCESS 」と「 インデックス 」です.


両社ともヤフーや楽天ほどの派手さはありませんが,黒子としてインターネットによる産業構造の変化を推進し,将来最大限にその恩恵を享受できると考えています.


「真の新興ネット企業」では,両社をとりまく環境を的確に把握し,投資を継続する価値があるかどうかを随時再考することを目的として,両社の動向を追っていきます.

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