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インデックス,2005年8月期連結決算見通

平成17年8月期(連結・単独)業績予想の修正並びに期末配当予想の修正に関するお知らせ [2005/10/27]


2005年8月期連結決算見通
今回見通 前回見通 前期実績(百万円)
売上高 73,600 82,000 39,131
経常利益 6,900 8,500 3,580
当期利益 5,600 5,400 △11,175


2005年8月期決算見通

今回見通 前回見通 前期実績(百万円)

売上高 10,700 15,000 12,474
経常利益 2,900 3,200 2,001
当期利益 4,400 2,500 6,739


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まさかの下方修正です.下方修正は上場来初です.


理由は,以下の2つ.


「連結対象である一部の海外コンテンツ子会社における事業縮小」


「国内ソリューション事業における膨大な受注に対する一部業務処理の遅れ並びに次期への計上ずれ込み等」


単体売上高 43 億円減(予想比)という修正額の大きさ,決算発表時期の延期などから,会計処理方法について,監査法人と意見のくい違いがあったものと思われます.


「膨大な受注」があることや経常利益率の向上から,ファンダメンタルや収益構造にネガティブな変化があったと判断するのは早計です.


連結については,売上高で 40 億円程度も修正する余地があるのは仏 123 Multimedia だけではないでしょうか.


実際,123 Multimedia の 2005年度中間決算 は,減益決算でした.


123 Multimedia のプレスリリースやファイナンシャルレポートを精査する必要がありそうです.


とにかく,10/31 の前期決算発表で,下方修正の具体的な理由が判明するでしょう.


根本的な原因は,M&Aにより子会社を急増させ,売上高,利益を倍増させるような組織の急成長に,組織管理体制が追いつかなかったことでしょう.


前期はタカラの買収に相当な労力を使ったはずなので,組織全体の管理が少し疎かになってしまったのでしょうか.


新興市場の盟主たるもの,組織管理の徹底をお願いしたいものです.

真の放送とインターネットの融合(その2)

昨日「真の放送とインターネットの融合」で,


「真の放送とインターネットの融合」とは,インデックスのように「幅広いメディア企業に対して保有コンテンツをネット配信する仕組みを提供すること」


と書きましたが,Yahoo!Japan の井上社長と考えが同じでした.


ヤフーの中間決算、利益率悪化も最高益--特定のテレビ局と組んでもダメ 」(CNET Japan 2005/10/22) に書かれている井上社長の考えをまとめると,


- 「楽天の TBS 統合案は,インターネット側にメリットがあってテレビ側にはメリットがないように思える.言うことを聞かせるには会社を買ってしまえということだろうが,Win-Winの関係がいいと思う.」


- 「視聴者として考えると特定のテレビ局だけではなく全部見たい.すべての局と仲良くWin-Winの関係を続けていきたい.」


ということになります.さらに,最大の課題として,


- 「テレビ番組も動画も音楽も,権利処理に関わる投資やコストの負担を誰がして,だれが得するのかという大枠ができていないことが一番の問題だ.これはテレビ局だけががんばっても解決しない.」


と述べています.


この課題にチャレンジしているのがインデックスなのです!


放送とインターネットの融合に関しては,インデックスの戦略がヤフーにも先行しているということですね.


真の放送とインターネットの融合

ネットラジオ、WOWOWが参入――衛星放送と相乗効果狙う。[2005/10/24 日本経済新聞]


 WOWOWはインターネットラジオ事業に参入する。テレビ局が音声番組に取り組むのは異例で、音楽や人気アーティストのトーク番組を自社のホームページから無料で配信する計画。


 携帯電話向け情報配信のインデックスの仲介で英BBCが保有する一九六〇年代―九〇年代の音楽ライブ音源を確保したほか、人気アーティスト「サザンオールスターズ」のメンバーによるトーク番組など三番組を試験配信しており、十一月以降、番組数を倍増して本格サービスにする。


(一部抜粋

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インデックスの仲介で英BBCが保有する音楽ライブ音源を確保」.


小さい記事ですが,重要なニュースです.


先日の「インデックス,双日と共同出資新会社設立 」 に見られるように,インデックスは優良コンテンツの国際版権の獲得配給事業の強化を打ち出しています.


その動きが早速具現化してきました.


(今回は共同出資会社がサポートしたのか,インデックス単独でサポートしたのかはわかりません.)


昨今「放送とインターネットの融合」を建前に,楽天やライブドアがメディア大手の買収に躍起になっています.


そして,特定のメディア企業の保有コンテンツを無理矢理ネット配信しようとしています.


しかし, 「真の放送とインターネットの融合」とは,インデックスのように「幅広いメディア企業に対して保有コンテンツをネット配信する仕組みを提供すること」 ではないでしょうか.


自社コンテンツ,幅広い他社コンテンツの版権,PC用 / 携帯用コンテンツ配信インフラ,運用ノウハウのすべてを兼ね備えている企業は今のところインデックスだけです.


特定の他社コンテンツを自社コンテンツとして取り込もうとする楽天とは戦略が根本的に異なります.


来年にはワンセグ放送も始まることですし,インデックスのこの「版権獲得配給事業」は次の成長ドライバの有力候補ですね.

楽天、TBS株15.46%取得の大株主

楽天、TBS株15.46%取得の大株主--世界へ向けて統合を両社で検討 [CNET Japan 2005/10/13]


 楽天は10月13日、子会社を通じて東京放送(TBS)の発行済株式数の15.46%を保有したことと、TBSに対して共同で持ち株会社を設立する提案を申し入れたことを発表した。


(中略)


 TBSを選んだ理由について三木谷氏は、「もっとも楽天と相性がいい」とした。ECに強みを持つ楽天と、テレビやラジオなど豊富なコンテンツを有してその制作能力も高いうえ、報道にも強いTBSとの組み合わせが最大のシナジー効果を生むと見込んでいる。また、デジタルビデオレコーダーの普及によってテレビCMがスキップされる割合が高まっているため、将来的に放送業界の収益にこの影響がでる可能性があることにも触れ、「テレビからウェブにトラフィックを誘導してネットの広告でそれを埋めることも可能だろう」とした。


(以下省略)

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インデックスがメディア企業と共存共栄の「水平分業型」資本業務提携という戦略をとるのに対し,ライブドアや楽天は実質買収とも言える「垂直統合型」資本業務提携という戦略をとろうとしています.


ライブドア,楽天のこの手法はまさに米国における M&A 戦略そのものです.


つまり,日本においても本格的に M&A の時代が到来したと言えます.


米国型 M&A では,買収側,被買収側とも,アドバイザーとして証券会社やコンサル企業と,また資金の出し手として投資ファンドや銀行とそれぞれ協力し,企業連合同士で激しく M&A 合戦を繰り広げます.


今朝の日経新聞によれば,楽天vsTBS も上記のような状況になっているそうです.


楽天が TBS と合併すれば,TBSの資本が入っているインデックスにも当然影響が及ぶでしょう.


TBSのネット戦略のおいしい部分だけを楽天に持っていかれかねません.


実際,楽天は USEN とショータイムというストリーム配信企業を共同出資で設立しており,TBSの動画コンテンツをこれに乗せて配信するつもりでしょう.


今後,インデックスの日本型水平分業戦略とライブドア,楽天の米国型垂直統合戦略のどちらが国内でトレンドになるのでしょうね.


ライブドア堀江社長と違って産業界と太いパイプをもつ三木谷社長の手腕を拝見するとしましょう.

ウィルコム、「話せるPDA」端末を発表

ウィルコム、「話せるPDA」端末を発表--Windowsを初搭載 [CNET 2005/10/20]


ウィルコムは10月20日、OSにWindows Mobile 5.0日本語版を採用したシャープ製のPHS端末「W-ZERO3」を発表した。PHSのSIMカードである「W-SIM」を差し込んで利用する。発売は12月上旬の予定だ。


ブラウザにはInternet Explorer Mobileを採用しており、PC用サイトが見られるほか、Flashにも対応する。ウィルコムのライトメールだけでなく、POP/SMTPメールも送受信できる。


(以下,省略)


ウィルコムPHS端末「W-ZERO3」
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このPHS端末,ホンネを言うと使ってみたいです.


普段 Windows を使っているため,PC と PDA で同じ作業がシームレスにできるからです.


米国ではこのようなスマートフォンが流行っているみたいですが,W-ZERO3 の発売は国内でもそのマーケットを創出する「トリガー」になりえますね.


米国スマートフォン市場では「PalmとMicrosoftの提携 」で書いたとおり,Windows Mobile がシェアを急速に伸ばしています.


なので,W-ZERO3 が Windows Mobile を採用したのも納得です.


Windows Mobile には,当然 Microsoft のフルブラウザ Internet Explorer Mobile が搭載されています.


NetFront が欲しければ,有料でダウンロードという形になります.


今後もし国内でもスマートフォン市場が立ち上がれば,どの OS がシェアを握るかを見極め,市場の拡大に合わせてうまく NetFront を供給する体制を構築できるかどうかがカギになります.


技術力に加えて,事業提携,マーケティングの強化,販売体制の強化などが必要になるでしょう.


国内スマートフォン市場の動向には要注目です.


なお,対応する W-SIM カードは,インデックスの子会社 ネットインデックス も製造販売するようです.



沖電気とACCESS、携帯IP電話用ソフトウエア開発会社設立

沖電気とACCESS、携帯IP電話等の次世代携帯端末向けソフトウエア開発の新会社を設立 [2005.10.17]


沖電気工業株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:篠塚 勝正、以下 沖電気)と株式会社ACCESS(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:荒川 亨、以下 ACCESS)は、次世代携帯端末をターゲットにした音声・映像メディアパッケージ商品の開発会社を共同出資で設立することに、本日合意しました。新会社名は「株式会社OKIACCESSテクノロジーズ(以下OKIACCESSテクノロジーズ)」で、設立日は2005年11月1日を予定しております。


沖電気とACCESSは本年6月に携帯IP電話向けソリューションに関する協業に合意して以来、IPの特徴を活かした商品の共同開発を進めてきました。このたび、今後の市場拡大が期待されるIMS(IP Multimedia Subsystem)(注1)関連事業分野において提携関係を強化することになりました。沖電気の有する高品位・高性能な音声・映像技術を、ACCESSの「NetFront(R) Mobile Client Suite」に統合する商品の開発を加速させることなどを目的に新会社を設立することになりました。

新会社のOKIACCESSテクノロジーズでは、携帯IP電話などの次世代携帯端末上でトリプルプレー(データ・音声・映像統合)を駆使したアプリケーションを創出するためのソリューションを提供していきます。モバイル環境と音声・映像コミュニケーション環境を融合した新しいソリューションを実現するとともに、開発コストの低減・開発スピードの向上・開発品質の向上を目的とした、最先端のソフトウェアスィート商品を開発していきます。


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ACCESS 第2四半期会社説明会 」で書きましたが,個人的に注目している SIP 関連事業で動きがありました.


IMS (IP Multimedia Subsystem) とは,固定電話と移動電話の融合サービスで,SIP 技術を用いています.


ユーザのプレゼンス情報の利用したり,携帯電話をトランシーバとして利用することができます.


固定電話と移動電話の融合は,Fixed Mobile Convergence と呼び,携帯電話サービスの大きなトレンドとなりつつあります.


ACCESS は将来 IP 電話のキーテクノロジーとなりうる SIP 技術をもっていないため,早期に M&A か業務/資本提携を行うと思っていました.


沖電気といえば,旧電電ファミリーの1社で,昔から電話交換機が得意です.


これまではソフトウェアベンダや半導体メーカとの提携ばかりでしたが,今回はサーバベンダと提携した点が一味違う感じがします.


携帯IP電話システム全体の実現を目指すため,単なるSIP 関連のソフトウェア開発企業と組むよりも,システム開発能力の優れた大手メーカーを選んだのでしょう.


なお,新会社は2008年度に30億円の売り上げを目指すとのことです.

インデックス,双日と共同出資新会社設立

インデックスと双日の共同出資新会社インデックス・グローバルライツ(IGR)設立 -- 世界に先駆けて国際版権の獲得と、全世界への配給を実現 [2005/10/17]


モバイル&メディア事業をグロ-バルに展開する株式会社インデックスと、日本製アニメーションを中心に国際版権の獲得および流通を手がけている双日株式会社は、携帯電話やインターネットなどのWNM(Wireless & New Media)分野に特化した、優良コンテンツの国際版権獲得と全世界向けの版権配給を行うインデックス・グロ-バルライツ・マネ-ジメント・コ-ポレ-ション(IGR)を、10月下旬に米国(ニューヨーク)に設立します。

IGRの資本金は、219万ドル(2億5000万円)で、インデックスが65%、双日が35%出資します。IGRでは、映像、音楽、スポーツなどのコンテンツを世界規模で配給できる国際配給権を、世界中のコンテンツホルダーから取得し、全世界のプロバイダー向けに提供していきます。WNM分野向けのコンテンツ市場は、現在、世界で150億ドル規模ですが、2008年には3倍の450億ドルにまで拡大すると予想されています。この急成長市場を背景に、IGRは将来的にIPOを目指していきます。


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インデックスが「コンテンツ総合商社」を目指していることは,これまで書いてきた通りです.


アニメに関しては,マッドハウスを子会社化したり,版権管理を行うインデックスライツを設立したりしており,アニメを重要なコンテンツと見ています.


しかし,これまでは主に VOD を想定して非モバイルビジネス向けのアニメコンテンツの版権獲得,配給に重点を置いてきました.


つまり,モバイルビジネス向けアニメ版権獲得,配給はこれまで事業ポートフォリオの空白領域でした.


今回の共同出資会社の設立は,この空白を埋めるものです.


双日は日本製アニメ制作への出資や輸出販売で30カ国,150社との取引実績があります.


実績のある双日の背中に乗せてもらう形なので,早期に軌道に乗ると思われます.


モバイル向け VOD の実現に向けた布石と見ることができますね.


ちなみに,新会社は2006年度に売上高1200万ドル(約14億円)を目指すそうです.

ACCESS -- 歴史的M&A,評価これから

ACCESS――歴史的M&A、評価これから(マーケット発)[日経産業新聞 2005/10/10]


 携帯電話用ブラウザー(ネット閲覧ソフト)のACCESSが、携帯情報端末用基本ソフト(OS)「パームOS」の米パームソース買収を決めて一カ月がたった。今の日本のIT業界で唯一と言っていい世界トップ級プレーヤーが、日本企業として初めて米国の有力OS開発元を買収する歴史的なM&Aである。
 ACCESSの株価は買収発表直後こそ上がったが、その後は、買収はるか以前の水準に押し戻されている。「市場は買収の価値を評価しかねている」(いちよし経済研究所の久保井昌伸氏)ようだ。だがよく見るとこの買収は多くの潜在的価値を秘めていそうだ。
 まず三百五十八億円という買収価格。米モトローラとの買収戦になり、パームソースの時価総額の二倍近くに上った点では高い買い物にみえる。しかしパームソースの時価総額は昨年初めには四百億円前後あった。しかもそれは同社が一人で生きていくことを前提にした株価だった。今後パームソースの技術や人材は、ACCESSの強力な顧客基盤向けにフル活用され、真価を発揮していく可能性が大きい。これらの点を考えると、むしろ割引価格で入手したとさえいえる。
 同社は買収で、携帯用標準OSの一つになるとみられる「リナックス」に詳しい即戦力技術者や知的財産を獲得したが、手に入れたのはそれだけではない。パームOS用には無数の企業や個人が応用ソフトを開発、その数は二万五千種類といわれる。それらの技術者群は今後もリナックスとパームOSを融合した新OS向けに応用ソフトを出してくれる巨大な開発者集団になる。「携帯メーカーはOSと応用ソフトをセットでほしがり始めた」(荒川亨ACCESS社長)。それに応えるのに必要な、一企業を超えた人材基盤を同社は入手したことになる。
 七日終値の二百十四万円で計算したACCESSの予想株価収益率(PER)は百倍強。市場では警戒感も広がる。しかし、グーグルやヤフーの歩みを見れば明らかなように、新興企業の中には「百倍=バブル」という常識があてはまらない企業も多い。
 同社の粗利益率は六〇%前後で、まだ上昇する見込み。今後は売上高を超えるペースで利益成長するとの見方も多い。買収の潜在価値を現実のものにできれば、市場は「高い百倍」と「安い百倍」があることに気付かされるかもしれない。


Copyrights © 2005 日本経済新聞社 Nihon Keizai Shimbun,Inc. All Rights Reser ved.

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この記事を書いた人,よくわかっていますね.


私が言いたいことをすべて代弁してくれているみたいで,付け加えることは特にありません.


日経の記者は概して ACCESS の戦略を高く評価しています.


これは ACCESS に関する一連の新聞記事を読めば明らかです.


記事になる前に,せめてこの程度の分析ができる個人投資家(機関投資家も?)が増えてほしいものです.

携帯電話事業新規参入 Vol.2

「総合コンテンツ商社」を目指し,M&A や資本提携により優良コンテンツの大元を抑えるというインデックスの経営戦略は,コンテンツ流通に関わるすべてのネット企業の中で最終的な勝者になると考えています.


通信事業の価格破壊が続けば,最終的にユーザがお金を払うのは,(最低限のネット接続料と)コンテンツかサービスだけになります.


実際,NTT ドコモや KDDI は,将来は携帯電話の通話料 / データ通信量が定額(小額)になる時代を見越し,魅力的なコンテンツやサービスの開発に死に物狂いで取り組んでいます.


総務省が携帯電話事業の新規参入社を募集すると発表した時,インデックスが直接申請することはないにしても,申請企業に出資してしまわないか心配しました.


今回,「携帯電話事業新規参入 Vol.1 」で書いたように,新規参入事業者の資本構成が明らかになりました.


インデックスの名前がなく,本当に安心しました.


接続事業社間で激しく価格競争をしてもらい,価格破壊が起こったところでインデックスが一番おいしい(儲かる)ところをもっていく,というシナリオを想定しています.


膨張グーグル、じわり脅威論 Vol.1

膨張グーグル、じわり脅威論――無料接続・宇宙…次々に新戦略、検索の枠越え影響力。

[日経産業新聞 2005/10/05]


 米グーグルがインターネット検索の枠を越えた新戦略を次々と打ち出している。「無料ネット接続」から「宇宙」まで分野は多岐にわたっており、一部業界からは反発の声も上がる。創業からわずか七年。グーグルの情報技術(IT)業界での影響力は、米マイクロソフトが神経をとがらすほど強まり、脅威論さえ広がり始めた。
 「無料でのネット接続は歓迎。頑張れグーグル」「グーグルは利用者の居場所さえ監視できる。プライバシーの侵害につながる」――。グーグルが打ち出した無線ネット接続サービス計画を巡って早速、ブログ(日記風の簡易型ホームページ)などで激しい議論が起きている。
 同社の計画は、カリフォルニア州サンフランシスコ市内に一平方マイル(約二・六平方キロメートル)当たり二十―三十カ所の接続拠点を設け、七十万人超の市民が屋内外でネットに無線接続できるようにするという内容。接続料はとらず、接続時にパソコン画面に表示する広告などを主な収入源にするとみられる。

(中略)


 ネット検索ビジネスを本業とするグーグルは最近、新分野に相次ぎ進出している。「宇宙」もその一つだ。
 同社は先週、コンピューターやバイオなど先端分野の研究開発で米航空宇宙局(NASA)と協力すると発表した。NASAがカリフォルニア州に持つ敷地に研究棟や研究者の住居を設ける計画という。
 先月にはインターネットの通信手順「TCP/IP」を開発し「ネットの父」とされるビントン・サーフ氏の招へいを表明。同氏がNASAによる惑星間通信の研究開発にかかわっていることも創造力をかき立てる。
 グーグルの時価総額は約八百八十九億ドル(約十兆円)、手元資金はざっと七十億ドル。「大型買収に打って出る」との観測は絶えない。無線ネットによる通信事業への本格参入や、宇宙進出などを荒唐無稽(こうとうむけい)な議論とは片付けられず、「次に何をしかけてくるか分からない」という意味で“不気味さ”さえ漂う。

(以下略)

Copyrights c 2005 日本経済新聞社 Nihon Keizai Shimbun,Inc. All Rights Reserved.

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Google が無線LAN によるネット接続事業計画を発表しました.


ACCESSの敵はGoogleか? 」で書きましたが,現在世界で最も元気のよいネット企業の Google のことなので,そういうのもありかな,と思いました.


というか,Google くらいしか本気でできないでしょう.なぜなら,


「ネット接続(回線)事業は儲からない」


からです.


携帯電話事業新規参入 Vol.1 」でも書きましたが,通信業界は価格破壊が果てしなく続き,重い設備投資負担をペイできません.


Google は 70 億ドルもの潤沢な手元資金があり,かつ,本業の広告事業で死ぬほど儲かっているので,その一部を儲からないネット接続事業で社会に還元してもいいでしょう.


無料ということなので,そういう意識も少なからずあると思います.


一方,ソフトバンクが国内で格安 ADSL の Yahoo!BB を激しく展開したのと同様に,将来のサービスのためにユーザを囲い込む狙いもあるかもしれません.