『愛のよろこび 』 銀色夏生
愛のよろこびの一番は、
愛するだれかの心が、何かの時に
「 このことだけはあの人でないとだめだ」 と、
自分のことを思い出してくれるということではないでしょうか。
何か、その一点においては他の誰でも何でもない、
ただ自分だけが唯一無二の存在であること。
その一点が生まれるならば
恋の目的は達せられたことになるが、
その一点のなんと生まれがたいことよ。
私が、この世に点在するもの、
ということは、そのことなのです。