骨があらぬところに?(強度の腰痛) | 越谷の整体院【 陽 だ ま り 通 信 】

越谷の整体院【 陽 だ ま り 通 信 】

副題:【整体師のぼやき】

ものぐさな私が、ブログを始めてしまいました。
主として当院患者さんのためにですが、迷い込んでしまった方も歓迎です。
お暇な時の、ちょっとした楽しみになれたら幸いです。


【 骨があらぬところに? 】



その日、患者さんはゼロ(涙)。ネットなぞを覗いていますと、院の前にタクシーが止まるのが見えました。


降りてくるのはお隣さんか、近所の方かと思い見ていましたら見知らぬ人が降り、こんな人近所にいたっけ?と思っていましたら、こちらに向かって歩いてきます。


御年配の女性の方なので、母を訪ねてこられたのかと思ったら違い、腰痛なので診てもらいたいとおっしゃいます。「電話してからの方がいいとも思ったんですが…」との言葉に、却って必死の思いが見て取れました。


キホン完全予約制なので来院予定がない時には掃除もしていませんでしたが(汗)、そのまま慌てて診ることにしました。



症状


患者は70代女性。50代の時に介護ボランティアで腰を痛める。

それはいったん収まり、以降それほど問題ではなかったと言う。


先ずは問診。


少し前から足首に痛みがあり、それをかばって歩くようにしていたところ、腰に無理が来たのか10日ほど前に強く腰が痛み、そのまま動けなくなり「昨日まで寝込んでいました」。今日やっと動ける状態にまで回復したので、ここに来たと言います。知っている人が何人か腰痛で手術をしたそうで、自分もそうしなくちゃいけないのかと不安に思っていたところ、ご近所の方が当院の広告を持ってきてくれる形で紹介してくれたとのこと。


最近は腰痛を感じたことが無いと言いますが、以前(上記20年ほど前)病院に行ったことがあり、レントゲン撮影の結果腰椎4番、5番間の椎間板がかなり薄くなりほとんど隙間がないと言われたのだそうです。


椎間板は何しろクッションであり、それがほとんど無くなってしまうと椎間狭少と言いまして、キホン治らないか、治ってもかなり時間がかかり、しかも再発しやすくなってしまうと聞いています。今回、その影響が遂に現れたことも考慮に入れなければなりません。


腰部の痛みのほか、臀部にも差し込むような痛みがあり、「寝込んでいた10日間は起きて歩こうとすると4~5歩あるくとその臀部の痛みが強くなり、歩けなくなってしまう」ほど。


状態


検出された問題は、腰椎4,5番の右後方変位。が、左方向にも動きがあまりなくほぼ可動不全状態。左側の腰の少し上の方も痛むと言うが、これは腰方形筋の拘縮。

仙骨底スプリングテストで右に少し動きの悪さがある。

腰仙関節に強い圧縮。臀部の差し込むような痛みはこのためと思われ、多分上殿神経痛。


そして何よりも、脊柱起立筋の強い拘縮が目立つ。

体幹背部真ん中に、ゴツゴツとした骨が当たるのは背骨の棘突起という部分。それを目安として脊柱起立筋を探るのだが、この方はその棘突起のすぐ脇に、まるでもう一つ棘突起があるかのような、感触として、骨を触っているかのような酷い筋緊張が認められた。

この部分は脊柱起立筋の棘筋といい、この拘縮は厄介。

また、そのすぐ隣の最長筋も、石のように硬くなっている。


寝込んでも何の不思議もない状態で、はっきり言ってかなり悪い。


トリートメントと経過


初日

なにしろ、筋、筋膜リリース。骨盤から上、わずか15センチくらいの幅にすぎないが、40分くらいかけて棘筋と最長筋の双方を。仙棘筋にはカウンターストレインも当てる。

上記問題個所にカウンターストレイン。

腰仙関節の圧縮を半分くらい解放。

施術後も、あまり効いていない様子。


2回目

3日後に来院。初日の翌日は、「すこぶる痛かった」。好転反応か?その翌日は、「まあまあ楽」。

3日目である当日は「痛い」。

そこで、あらためて筋膜リリースを入念に。とはいえ、本当に緩まない。が、なんとかそれなりに緩めることができた。これだけで50分はかかってしまった。

腰仙関節の圧縮も、この日は8割以上は解放できた。

あとは初日と同じ。

施術後、ずいぶん楽になったらしく、「天気もいいので」と、帰りはタクシーを使わず、駅までゆっくりとはいえ歩いて行くほどに。


3回目

4日後に来院。前回施術後は休み休みながら15分「も」歩けた。全体的に楽に。

が、上臀部の痛みが戻っている。

施術内容は2回目と同じ。


4回目

6日後来院。3回目の翌日は痛み、寝ていた方が楽。2~4日目はまあまあ。5日目は痛む。

施術内容は前回と同じ。


5回目

8日後来院。4回目のあとは、「ずいぶん楽になってきた」。臀部の差し込むような痛みはなくなっている(この時以降、現在までこの臀部痛は出ていない)。

右腰方形筋の痛みはあり、腰に重い感じが残る。

この5回目より、少し範囲を広げて気になる箇所にも加療する。


6回目

8日後来院。腰の痛みはほとんどないが、今度は右腰方形筋が痛む。

痛みが反対側に出てきたり、上の痛みが下に、下の痛みが上に、など、変化しながら良くなっていく傾向がしばしばあることを説明。

まだ大股では歩けず、腰の重みが気になる事と、細かい動作で不安感が残る。

脊柱起立筋の緊張のためだと思われる。

5回目と同じような加療。


7~8回目

5回目からこの8回目までは、ほぼ1週間間隔で来院し、上記と同じ加療。

患者状態も、痛みはほとんど無く全体的に上向くも、腰の重さ、不安感のみ続くという、同じような状態で推移。

が、この8回目で、脊柱起立筋が緩んできたのか、その奥にかなりの問題個所を見つける。

8回目の加療で特徴的なのは、この奥に見つかった問題個所。もちろん加療。


9回目

やはり1週間後に来院。

動き出しに気になる痛みはあるが、動けば楽になる。

前回見つかった問題個所、起立筋の奥の問題へリリース(筋緩和)を施す。

と、この時に突然、自発的解放と言うのですが、筋肉が、まるで自ら勝手に解放するような緩み方をみせる。とてもいい緩み方で、少し興奮を覚えてしまった。

それが功を奏したと思えるのだが、施術後、不思議な事にあの骨のような感触がなくなりあれほどしつこかった腰の重さが取れてしまった。

想像通り、起立筋の緊張が、腰の重さ感を生じさせていたのだろう。

そのため(自発的解放が生じたため)、筋・筋膜リリースにかける時間もいつもより少し短めで済む。




この記事を書いている今現在で、この方に施したのは、この9回目まで。

ここまでで2か月ほど。

つまりまだ継続加療をしているが(することになるが)、全体的に経過が良く、当初長期戦を余儀なくされると思われたが、少し早めに回復してしまうかもしれない。

あとはなにしろ、起立筋の問題。

御自分での努力、つまりウォーキングやお教えした筋緩和法、軽い体操などが必要になるが、今後は2週間ごとの加療を継続し、あと2~3か月後には万全な状態にまで持っていければと思っている。


うまくいって欲しいと願っています。




      しっぽフリフリ      ペタしてね