大学病院の診察が三ヶ月に一回に伸びたことに安堵し少し落ち着いて過ごせるかな・・そう思っていた8月5日の朝7時頃ミントの寝ている和室から「ふ~ん、ふ~ん」とミントの声がしました。
鳴かないミントの声を聞いたのは初めてだったかもしれません。
何事だろうか?と飛び起きて和室に向かうと倒れているミントがいました。
和室とリビングの境目で横になっています。
おしっこを漏らしているようで畳が濡れていました。
目をキョロキョロさせて「なにが起きているのかわからない」顔をしていました。
「ミントどうしたの?」と抱き上げると筋肉が全くない新生児のようにクタっとしています。
どうしていいのかわからずに、いつもの病院に電話すると「すぐに連れ来ていいですよ」とのことで病院へ。
待合室で待っているとまたおしっこにウンチを出して、口からは泡を吹いていました。
「もうだめだ・・この子は死んでしまう」
なにが起きたのかはわからずにでも、もうミントは死んでしまう・・そう思いました。
検査を待っている間に入院になるから・・と言われて入院準備を取りに一度家に帰りました。
ふとそうだ・・・と大学病院に電話してみました。
基本は予約制なので診てもられないだろうと思い諦めていると、たまたま主治医が当直で病院にいました。
状況を話すと「すぐに連れてきて」と言われまた病院に戻りました。
その時に「たぶん週明けまでもたない」と言われました。
電解質の値が急激に下がっていて生命が維持できないだろうと・・
前にもそう言っていた。脳腫瘍だから長生きできない・・そう言っていたのです。
私はただずっと泣き続けなにも言わずにタオルにくるまれたミントを先生からもぎ取り「このまま東大へ連れて行きます」
たまたま日曜日で主人がいてくれたのでそのまま車で大学病院に行きました。
到着して車から降りた時にするすると力無くミントが私の腕からすり抜けて落ちそうになりました。
私も座り込み、ただ泣くだけです。
なにが起きたの?
主治医が飛んできてくれてすぐにミントを診て
「毒でも口にした?」
「そんなはずはないです。ずっと一緒にいました。」
丁寧にミントの様子を診ながら言われたのは
「しばらくミント君はお預かりしますね。」
「先生、ミントは死んじゃいますか?」
「命に別状はないんじゃないかな?ただ・・・後遺症は残るかな。」
前もそうだった・・・ミントが死んでしまうのか?と思っていた時に「目が見えないだけ」そう言ってくれた。
そして今回も・・
「じゃあお預かりしますね。面会は毎日どうぞ。」そう言ってタオルにくるまれもう意識のないミントを抱きかかえた主治医に「先生、ミントを殺さないで。後遺症が残ってもいいから生きて返して。」そう言いました。
「大丈夫、任せて。」
この日のこの瞬間の主治医とのやりとりで私はこの先生にミントの命を託しました。
動物の祈りを届けるメッセンジャー 陽だまりのしっぽ 美香