あと数時間で21日になる。


目覚まし時計の秒針が焦るように音を立てて


時を刻んでいた。





今まで私は何も言っていない。聞いていない。


ホテルの件にも、昨日の件にも触れていない。


でも、私が感づいている事を感づきだし、昨日も連絡もせずに


一日外出していた旦那は今日一日実にそわそわして、ふわふわしていた。



「いつ、どう切り出されるのだろう」とビクビクしている。






お風呂も入ってさあ、寝よう。その前に歯磨き歯磨き。


洗面所に向かった旦那に声をかける。





「話があるから、歯磨き終わったらこっち着て座って。」





返事はない。





歯磨きが終わって。


こっちに来ない。






コンタクトをはずして。


こっちにこない。






トイレに行って。





席を立ってから30分も経ってから旦那はやっと私の隣に腰を下ろした。


この日は学校に行くといって午前9時頃に家を出て行った。



旦那は中小企業診断士の資格を取るため土日のどちらかは学校に通っている。

今日私、夜に用事があるからねー。とだけ伝えて送り出した。




それから夜の10時過ぎまで全く連絡がなかった。

絶えかねてこちらから電話しても出ない。怪しい。怪しすぎる。



何回かかけて、やっと電話がつながった。


今どこ?の問いに新宿と短く返される。


「それじゃあ今から私も出るところなんだけど、新宿通るから、お茶でもしようよ。」


「今ご飯軽く食べてて、これから学校に戻って自習室でも一回勉強するから無理。」


軽くご飯を食べている割りに、電話口の後ろはかなりうるさい。


居酒屋のような。





30分後。


新宿到着。


電話するも出ない。何度かけても。


時計の短針はすでに23時を指している。


もうとっくに自習室は閉まっているはずだし電話に出れない、折り返しも出来ない理由もない。



11日に私の心に落ちた一点のシミは


失望、焦燥感、嫉妬、悲愴、怒り、色々な思いと絵の具のように


混ざり合い私の心、私自身を染めていくようだ。


拭っても脱ぐってもその色は私を侵食していく。





結局私が家に帰った時には主人はベッドで寝ていた。





それから一週間程、旦那にはこの話はせずいつも通りの生活を続けた。




でも、寝ている時は正直らしい。






まだまだ寒いこの時期、体温の高い旦那に擦り寄って寝ていた私が



あの日から全く近づかなくなった。




私と旦那の間に何か透明な抱き枕でもあるように、距離を置いて


旦那とは別の方向を向いて寝ている。





そんな私の行動をみてか、普段どおりにしているつもりでも行動の節々に



何かしらツンツンしたものが出ていたのか、それとも男の感か、




私が感づいている事を旦那も感づき出したようだ。