さて、

判決を踏まえて、平山先生のブログが更新されました。

たぶん、多くの方には何が何だかわからないと思うので、

わたしが、「勝手」に解説してみます。

(文責 さらしな)

 

 

これは私の解釈ですが、本件は、刑事事件に見立てるとわかりやすいです。

 

本件はAKSが送ってきた 通知書(甲15) から話が始まります。

刑事なら「訴因」であり、起訴状で被告人に告げることが義務づけられるものです。

被告人の防御権に鑑み、「訴因」は、みだりに拡大したり変更したりしないのが原則です。

 

で、本件はコンプライアンス違反の疑いがあるとして、コンプライアンス推進規則に基づき「調査委員会」の設置が決まり、調査が始まります。ここで気を付けて欲しいのは、「調査委員会」の調査の範囲は「訴因」に限られるということです。

 

その後、調査委員会は、当該論文は名誉毀損にあたらない結論しました。が、なぜか「論文中に被疑者の実名、顔写真があるためプライバシーの疑い」があるとしました。

 

このとき、調査委員会は平山先生に「論文中に被疑者の実名、顔写真があることの必要性」を尋ねました。平山先生は、

 

「こ と の 本 質 は 、 稲 垣 副 学 長 が学問 の 自 由 や 表 現 の 自 由 と い う憲 法 で 保 障 さ れ た 私 の 権 利 を、 学 内 の 権 力 構 造 を 利用し て 侵 害 し て い る (リ ポ ジ ト リ 公 開 が 差 し 止 め ら れ 、 学問 の 自 由 の うち 研 究 発 表
の 自由 と教 育 の 自由 が 侵 害 され てい るな ど) とい う こと だ と私 は 理解 し てお り ま すので、 回 答 す る の は 間 違 っ てい ると 判 断 い た しま す」

 

と回答しています。

 

AKSでさえ主張していない「被疑者のプライバシー権の侵害」がなぜ「調査委員会」の調査事項になるのか 

 

ここは、後々まで先生の疑念となっていきます。

 

 

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裁判以降も、先生の疑念は同じです。

 

先生は、訴状第7において、論文が名誉毀損にあたらないことを主張しました。

AKSの通知書の挙げた項目がいずれも名誉毀損にあたらないとの主張です。

これに対する被告大学準備書面は訴状第7に直接応答せず、通知書さえ挙げていない項目を挙げて、

論文の内容を名誉毀損にあたると主張しました。

もちろん「被疑者へのプライバシー権の侵害」もこれに入っています。

 

先生にとっては、「通知書」の内容こそ「訴因」であるわけで、これは余計な事柄です。

そこで、この「余計な事柄」に関し、特に具体的反論をしませんでした。

 

すると、裁判長は「控訴審に備える意味もあるので念のため当該箇所(「余計な事柄」)について具体的に検討してほしい」としました。

 

先生は「余計な事柄」に関して言及するのは本意ではありませんし、その義務はありません。でも、裁判長が特に勧めてくれたので「余計な事柄」に関しても反論しました。

 

そしたら、まさにその部分を根拠に原告敗訴の判決が導かれたのです。

 

私はこれを先生のように「検閲」とは思いません。が、許される訴訟指揮の範囲を逸脱しているのではないかとは思います。

 

先生はこれを「信義に反する騙し討ち」と表現されました。控訴用に起案したの準備書面の記述で一審で敗訴したら当然そうなります。

 

以上が私の解釈による、平山ブログの解説です。