蟲が鳴いている | 寅のゆる〜く暮らそう

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すっかり歳を重ねてしまいました。日々体力と向かい合いながらあと少しの人生を楽しんで行けたなら幸せだと思っています

何だろう~数日前から

八木重吉の詩の世界がふと心に沁みる

ある日突然である

 

いつだか茅ヶ崎散策していた

開高健記念館に立ち寄り

 

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その帰り道茅ヶ崎美術館へ

その隣接する高砂緑地に詩碑が

八木重吉の蟲の詩が刻まれていた

 

 

蟲が鳴いている

いま、ないておかなければ

もう駄目だというふうに鳴いている

しぜんと

涙をさそわれる

 

 

八木の詩の世界は

素朴である

素直な目でとても共感する

難しい解釈よりそのままの詩が

自分にとっては受け入れられる

 

八木作品の

好きな詩を書きますね

 

月にてらされると

ひとりで遊びたくなってくる

そっと涙をながしたり

にこにこしたりして おどりたくなる

 

ながいこと 病んでいて

ふと非常に 気持ちがよいので

人の見ていないところで ふざけてみた

 

 

この豚だって

かわいいよ

こんな春だもの

いいけしきをすって

むちゅうで あるいてきたんだもの

 

 

窓をあけて雨を見ていると

なんにも要らないから

こうしておだやかなきもちで

いたいとおもう

 

雨のおとがきこえる

雨がふっていたのだ

あのおとのようにそっと世のために

はたらいていよう

雨があがるように しずかに死んでゆこう

 

ねがひ

人と人とのあひだを

美しくみよう

わたしと人とのあひだを

うつくしくみよう

疲れてはならない

 

夕焼

ゆう焼けをあび

手をふり

手をふり

胸にはちさい夢をとばし

手をにぎりあわせてふりながら

このゆうやけをあびていたいよ

 

原っぱ

ずいぶん

ひろい原っぱだ

いっぽんのみちを

むしょうにあるいていくと

こころが

うつくしくなって

ひとりごとを

いうのがうれしくなる

 

母の顔

お母さんの顔をみたくなった

お母さんの顔をとおりぬけると

本当のことが

わかるように思えてならない

 

八木重吉は29歳の若さで

結核で亡くなった

娘2人も病気で亡くした

八木重吉の

最後の療養地が茅ヶ崎であった

 

朝めをさまして

自分のからだの弱いこと

妻のこと 子供達の行末

のことをかんがえて

ぼろぼろ涙が出て

とまらなかった