先日、国立音大で行われたマスタークラスを聴講してきました(なんと無料)。
こちらの講堂、素晴らしいですねキラキラ
天井が高く、座席は前の人が被らないようになっていてとても見やすいですニコニコ
(講堂の写真はHPより)

マスタークラスと言っても、ピアノではなくクラリネットのマスタークラス。
講師はフランス放送フィルの首席クラリネット奏者、ニコラ・バルディルーさん。


ツイッターのフォロワーさん(クラリネット奏者)が、この方のコンサートに行って素晴らしかったとツイートされていて、他にもコンサートがないか調べてみたところマスタークラスの情報をみつけ、伴奏の勉強にもなるかな、と聴講することに。

10月に一緒にデュオコンサートをやる片桐さんは仕事のため聴講出来ず、何故かクラリネットについて殆ど知識の無い私が聴講するという…タラー
クラリネット素人目線ではありますが、マスタークラスの内容をレポートしたいと思いますルンルン

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受講生は4人。
①マルティヌー
クラリネットとピアノのためのソナチネ

受講生の方が最初に通して演奏された時、素敵な演奏だなと思いました。
けれど講師のバルディルーさんの第一声は、「まず息漏れが気になる」とのこと。
私が聴いている分には、「そう言われてみれば少し息の漏れるような音がした箇所があったような…」という程度でしたが、バルディルーさんは「少し」と思っていらっしゃらないご様子で、音の出し方のご指導から始まりました。

アンブシュアについて
「アンブシュアについて、小さい子どもにどう説明しますか?」とバルディルーさん。
受講者の方は、口の両端を手で上げるような素振り。

バルディルーさんの答えは以下のとおり。
口角を上げて笑顔を作るのは良くない。
何故なら下唇が緊張状態になるからです。
下唇が薄くなり過ぎちゃう。リードを噛み過ぎてしまう。
正しいのは、口笛をする時のように、そして口をオーOの形にして左右の頬の内側の筋肉を口の中央に向かって寄せて真ん中にエネルギーを注ぐ。
こうすると下唇が厚くなり、リードを噛むのが少なくなり、息が真ん中に行く事で息漏れが無くなる。
今まで使っていない筋肉を使うので疲れると思うけれど2ヵ月ぐらいでなおせます。

これによって受講者の方の音は随分変わりました。

★音程のチューニングについて
Bの音でのチューニングは、楽器全部の長さでチューニングするので、楽器のどこ(の繋ぎ目)を抜いて調整すれば良いかがわからない。
まず左手のどれかの音でチューニングしましょう。

・楽器的なレガートではなく歌のレガートで演奏する。
・横隔膜をしっかり使う。
・低音から高音へ行く時は、下の音を引っ張って上に上がるイメージ。

★ブレスについて
息の吸い方、ブレスの回数に気をつける。
八分休符が見えたらブレスをしなければいけないわけではない。
ブレスの回数が多いと、肩が上がる。
息(呼吸)と緊張はすごく繋がっています。
本当に息が無くなった時に吸いましょう。
ブレスの位置を決めておき、緊張していてもそこだけでブレスするようにしましょう。

②プーランク
クラリネットとピアノのためのソナタ

★指遣いについて
右手と左手を使う指遣いよりも、右手だけを動かす指遣いの方が頭が楽になります。
音量によっても指遣いは違う。

・音程をとるためには吹く前に音をイメージする。
・ffで下の方の音を吹く時は少し下の方をタンギング。

③ドビュッシー
クラリネットのための第1狂詩曲

この曲は、ペリアスとメリザンドのように。
ペリアスが寝ようとしているところで、心臓はゆっくり。

ピアノは水を表現しています。
ドビュッシーは印象派だからと言って自由過ぎて良いわけではありません、テンポを感じるように。

ドビュッシーは必要な事は全部書いてあります。
逆に書いてないことはしない。
強弱が書いて無ければ前に書いてあったもののままということです。

音程も良いしレガートもやり易い魔法のような指遣いと言って、指遣いを指導されていました。

④シューマン
幻想小曲集

内面的な曲。柔らかい音色で。
音ごとに吹かないように、大きなラインで吹く。
歌曲の歌詞が無いものと思う。

指を離す時は、下へ指を滑らせるように離す。

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文で見るとボリュームが少ないと思われるかもしれませんが、受講者が理解して出来るようになるまで何度も繰り返し吹いてみたりして、1曲45分ぐらいはレッスンされていました。

息漏れのこと、音程が自然にとれる指遣い、効率的な指遣いを探すこと、などを繰り返し仰っていました。

マスタークラスの後はバルディルーさんの演奏。
マスタークラスの②と③の曲を演奏されたのですが、まず音量が生徒の方と全然違う。
とても背の高い方で、密度の濃い美しい響きが講堂の天井や客席の隅々まで響き渡っていましたキラキラ

②のプーランク/クラリネットとピアノのためのソナタ、これ魅力的な曲ですね〜照れキラキラ
バルディルーさんの演奏がYouTubeにあったので貼っておきます。
プロコフィエフに似た感じで、映画かバレエを観ているような。
最初の喧騒(ピアノ難しそうアセアセ)から一変して1分ぐらいから穏やかに。
3分7秒あたりからはバレエ音楽、ロミオとジュリエットみたいな雰囲気。好きだわ〜ラブ

この日のバルディルーさんの演奏は、ロミジュリ的な箇所のppがYouTubeの動画と比べてもっと繊細で、ppから音量が大きくなった時の遠近感が素晴らしく表現されていて、鳥肌が立ちましたキラキラ

バルディルーさんの言う「クラリネットの良い音」とはどんな音なのか、クラリネットを演奏する上で何を大切にしなければいけないのかなど、色々と勉強になりましたニコニコ

そしてマスタークラスのピアニスト仲地朋子さんも素晴らしかった。

バルディルーさんは、インスタではお一人で多重録音(一人二役)したものなどをアップされていて面白い&素晴らしいですルンルン
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