ある人に、「ピアノなんて」と言われ、驚いた。

「衣食住」以外のものは余分なもので、ピアノなんて無くても生きるのには困らないという事だろうか。
その人にとっては、風に揺れる花々も、鳥の囀りも、自分が生きていくのに必須ではないということなのか。。。

私はこれまでどれほどピアノに救われたかわからない。
ピアノを通して作曲家の思いを受け取り、それにどれほど励まされ支えられたか。
世の中の人に語れない不安や悩みを、「そんな不安はお見通し」と言うように、作品が熱をもって暖かく、または心を解かすように、語りかけてくれる。

ピアノのない人生など考えられない。
自分が何か見事な演奏をしようとか、人を感動させようとかいうものではない。
ピアノをやる人は皆、ピアノに生かされている。