月に何度もコンサートに通った時期がある。
その頃に都内の主要なホールには殆ど足を運び、各ホールの座席表をだいたい記憶したので、オケ、ピアノ、オペラやバレエ…何を聴く(観る)ならどこのホールのどの辺りの席が良いかを把握する事が出来た。

コンサートホールには、主にシューボックスタイプ(縦長の長方形、紀尾井ホールやオペラシティ等)と、ワインヤードタイプ(葡萄の段々畑型、サントリーホール等)、更に扇型(東京芸術劇場等)や馬蹄型や横長型などがある。
ホールの形状によって響きは違って聴こえる。
個人的には、日本でピアノリサイタルを聴くならシューボックスタイプが一番適しているように感じる。

座席選びで注意すべき事はいくつかあるけれど、響きを重視する場合に最低限注意すべき事は、1階席なら2階席が被らないこと。
2階席なら後ろ過ぎないこと。
(2階も傾斜がある場合、後ろでも大丈夫な場合があるけれど、2階がフラットな場合は奥には響きが飛んで来ない。)

真剣に響きに集中したい公演の場合、座席を選べるサイトか窓口でチケットを購入する方が良い。
中央寄りか壁沿いか、なども含め、席の位置が微妙に違うだけで聴こえ方は全く違うので、同じ金額を支払うなら少しでも良い席を選びたい。

券種でいうと、S席とA席とでは響きは想像以上に違う。
予算設定がある場合は仕方ないとして、金額的に迷うぐらいなら、頑張ってS席にした方が何倍も良い響きを味わえる。

折角楽しみに行ったのにあまり響きが良くなくてガッカリして帰る時、それは席の位置が影響している場合も多い。
席を慎重に選ばずに妥協してしまうと、席が悪かったのか、それとも演奏自体が悪かったのか、判断できない。
微細な響きを聴き分けたい方、その演奏の真の姿を見極めたい方は、慎重に席を選んだ方が、納得いく感想を抱く事が出来ると思う。