日々是学ぶ! -4ページ目

日々是学ぶ!

歴史は糸玉のようなもの、とわたくしめは思っております。
歴史はありとあらゆる出来事が絡まって出来上がる物でどの糸を辿るかで糸玉の色は様々に変化致します。
わたくし大宅世学、未だ未熟者ながら皆様と歴史を観測し語り合いたく存じます。

皆様、お待たせいたしました。

今回は少し話が進んで、幕府を震撼させた由井正雪の乱、所謂慶安の変についてのお話で御座います。

幕府の礎を築いた徳川家光ですが1651年、遂に亡くなってしまいます。

まだ48歳という若さでありましたが、問題はこの時大御所が居なくなる、という事態が起こってしまった事でありました。

二代目将軍秀忠、三代目将軍家光ともに先代が大御所として後見していたが故に問題が起きなかった。ですが家光は将軍である最中、病死してしまいました。そしてその息子が将軍となったので御座いますが・・・・。

しかしこの時、四代目将軍家綱はなんと11歳

この事態に幕府は会津藩主保科正之が将軍を補佐するという体制で乗り切ろうとします。

さてこの時代、牢人が問題となった時代でもありました。

当時幕府は武断政治を敷いておりました。これは何か問題を起こせばお家が潰れるぞ!と脅して(脅すだけではなく実行もして)世の中を安定させようという政治で御座います。

しかしお家が潰れるというのは大名が切腹して終わり!というものではありません。

その藩が抱えている多くの武士は失職するので御座います。

当時の武士は一種隔絶した階級に住んでいたといえましょう。

何しろ再就職が出来ない。

例えば農民や商人なら一回失敗してもまた好機がくればやり直せる訳ですが、

武士は失職してしまうと雇い口が無いのですな。

どこの藩も先祖代々の武士がいるのだから新規採用は少ない。

生活の為に刀を捨て、真面目に生きていけばいいじゃんと思いますが、

今まで真面目に生きてきたのにいきなりその道を奪われ、今までやったことも無いような生活をするというのにはかなりの精神力が必要で御座います。

そうなればその苦しみ、怒りは幕府に向かうワケで御座います。

つまり些細な問題を取り上げてお家を潰した幕府のせい、となったわけですな。

しかも生活苦のあまり犯罪の道に走る者もかなりいたと言われているとか。

じゃあ幕府は何か対策はしないのか?というと何もしていなかったそうな。

と、いうのもこの牢人の問題というのはあくまで藩の問題であって、幕府が何かするのはお門違い・・・と考えていたとか、実際は日本国内の政治問題の解決で忙しかったのだとか、そういった問題が背景にあるそうなので御座います。

しかしこの失職者が10万人にも及ぶとなればかなり危険な存在になっているわけです。

その事に目を付けたのが由井正雪、というワケです。

由井正雪は軍学者で御座いました。

彼はこの10万の牢人者を使って一大クーデターを計画したので御座います。

によればまず幕府の火薬庫を爆破、老中以下の幕府の主要人物を銃撃し排除し、最後は帝の勅令を戴こうと考えていたのだとか。

しかしあまりに念のこもった一大仕掛けに幕府の諜報網に引っかかってしまったのですな。

事件の結末は実動隊隊長・丸橋忠弥の逮捕、由井正雪の自害という結果で終わったので御座います。

ですが幕府はこの事件の結果牢人問題という一大事に気付き、

武断政治を改め、新しい政治を行う事になったので御座います。

こうして新時代は4代目家綱、そしてかの犬公方・徳川綱吉の手によって開かれる事となったので御座います。

                             話者       大宅世学