先日、ふと思い出したようにとある建築現場に向かって車を走らせました。
宮崎を中心に活躍されている若手設計士・きなりきなるさんのデザインした伝統工法に基づいた現代住宅がそろそろ完成してる頃なのです。

そこは、すべて天然素材で造られている環境共生住宅。
そんなもの実際この目で確認しないわけにはいきません。






今回屋根は茅葺きではないようですが、「近いうちに茅葺きの新築を設計したいんです」「実は次は茅葺きをやろうと仲間たちと話しているんです」と、熱意の込もったお誘いを頂きました。
私自身そんな面白い話受けないわけありません。

現在は法律でがんじがらめとなっている新築茅葺き屋根住宅ですが、こんなに心強い仲間が現れたら話は別です。茅葺現代住宅の実現に向けて何かお手伝いできたら、僕にとってこれほど嬉しいことはありません。






実は昨年訪れたオランダでも、欧州における茅葺現代住宅とその防火装置等を日本へ応用・導入したいと勉強している日本人研究者と出会いました。
上記プロジェクトを具体化する際には、彼女ともコラボできたら面白いな、などと勝手に考えたりしています。
(↓画像は引き続き、加治木町『野楽路の家』訪問時に撮影したもの)

▼美しい黒色の外壁は焼杉

▼屋根裏部屋



【参考/当物件に関するお問い合わせ先】

∞∞∞ きなるきなり ∞∞∞
∞ 半農半建築士事務所 ∞
素ままに、悦ぶ、楽しむ、
木成る生成りの棲まい造り
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+ 古民家 + 伝統構法 + 環境共生住宅
+ 百年でも千年でも永続・持続可能な暮らし方
想うまま想いのままに"i"をこめて─────
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九州古民家伝統工法研究会
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茅葺ふきかえ中の現場情報です。
鹿児島空港から隼人・錦江湾方面に下りて行く街道沿いにある茅葺屋根の蕎麦屋さん「そば茶屋・吹上庵」さんの葺き替え工事が始まっています。(3月中旬~4月上旬)

数少ない鹿児島県内の現場ということもあり、当初自分も参加する予定でしたが、ちょうど福岡県での文化財補修工事と時期が重なってしまったために本現場には不参加です。
つい先日福岡の方でお休みが取れたので、こちらの現場を見学に行きました。そのときの写真です。

予定では、昨日今日あたりで最初の1棟が葺き上がっているのではないかと思います。今週と来週でもう1棟も全面葺き替えする模様。

本州~九州中北部の屋根と比べ、明らかに異質なフォルムです。やはり気候や植生がこの鹿児島から亜熱帯性を帯びてくるということでしょうか。
軒先に向かって丸味を帯びるラインが、このあたりのランドスケープや南国の空気感にとてもマッチしているように感じました。

ご興味のある方は、工事期間中に見学されていかがでしょうか。
尚、蕎麦屋さんも通常通り営業されているようです。

作業にあたっているのは、私も昨年から所属させていただいている知覧町茅葺技術保存会の皆さんで、彼らはそれぞれ本業をお持ちです。公務員系から飲食店のオーナーさん、知覧茶メーカーの社長さんなど、多種多様な経歴の方々がいらっしゃいます。

地の人々の手によって、それも同じ共同体に属する人の手によって屋根を葺く。
彼らはそんな本来の茅葺文化のあり方に近い形を継承している技術集団のひとつではないでしょうか。







先日、知覧の茅葺技術保存会さんが中心となって毎年1月中~下旬に行なっている「茅刈り」というものに参加してきました。

私たち現在の茅葺き職人というのは、現場に運ばれてくる屋根材として用意された状態の茅しか触れる機会がないのですが(もちろん茅を自分たちで刈っている方々もいらっしゃいます)、今回初めて材料である茅を刈りとる段階を体験することができました。

保存会の皆さんの他、鹿児島市内から20代の若者たちや地元のバーのママさんまで色々な方と一緒に汗を流しました。

約1~2週間かけて数千束を刈る日程のうち、私は3日ほどしか参加できませんでしたが、この作業がいかに手間と人手のかかるものであるかを窺い知ることができました。

これは5人や10人でどうにかなる仕事ではありません。茅を刈るタイミング・時節も限られていますから、やはり村落共同体のようなものが機能している地域でないと難しいな、ということを非常に強く思い知らされました。

逆にいえば、地方で近年見られ形作られつつある新しい共同体(移住者+uタ-ン者+地域の方)のかたちとその暮らしには、その可能性を見いだせるように思えたりします。

茅葺古民家の公共用途、例えばシェアオフィスやシェアハウス、共同倉庫などであれば、本来のお金のかからない形での屋根替え(葺き替え)・維持・保存が可能となるのではないかと想像します。
実際にワークショップ形式などでそれを実践しているケースもたまに耳にします。

というわけで、地元鹿児島からの報告でした。

伝統文化の継承に欠かせない「茅場」と「茅刈り」を再び復活させた知覧茅葺技術保存会の皆様の存在は本当に心強く、嬉しい限りです。
今後もそのご活動を微力ながら応援させていただきたいと思っています。