誰もが知られたくない”秘密”をかかえている
連続ドラマ×ミステリーアドベンチャー
「ミステリーの歩き方」
●ジャンル:連続ドラマ×ミステリーアドベンチャー
●発売元:イマジニア 開発:トイボックス
●価格:5,980円
●対応機種:ニンテンドースイッチ
●発売日:2024年12月12日
●対象年齢12才以上
架空の避暑地、鳴美沢(なるみざわ)を舞台としたゲーム第一弾。
犯罪心理学を学んでいるミステリー研究会の大学生が、30年前に鳴美沢で起きた未解決の事件を調査する。今回のソフトは、主人公・赤沢独歩(あかざわ どっぽ)の持っている能力「過去視」が登場。過去に起きた光景を頼りに事件の真相を解明していく。
■ミステリー研究会。最初の課題は30年前の未解決を出される
「ミステリーの歩き方」第一弾は、「山鳴荘事件」またの名を「鳴美沢風景画家殺人事件」を中心に取り扱う。
事件は30年前、鳴美沢にある山鳴荘という屋敷で風景画家が殺害された。風景画家は、深夜に池のほとりで、絵を描いていたところを何者かに背中を刺される。背中を刺した凶器は刃物のナイフ。
奇妙な謎は、倒れた背中に一本の筆が刺されていたこと。一本の筆は天に向かって垂直に刺さり、印象は体から生えていたかのようにあった。
当時の警察が疑った犯人は、自分から命を絶ったことで事件は幕を閉じる。
あれから30年の歳月を経て、ミステリー研究会・大学ゼミの准教授は「山鳴荘事件」について犯罪心理があるのか、学生たちにレポート作りの課題を出す。学生たちは現地の鳴美沢へ行き、調査することに。
調査を進めるうちに当時の捜査やインターネットでは知ることが無い話、被害者に対する事件関係者たちの複雑な感情、新たな証拠の手かがりがあることがわかり始める。ミステリー研究会の面々は、山鳴荘にうず巻く事件の解決へと乗り出すのだ。
■連続ドラマは、一話ごとに区切って展開される
シナリオのお話は、プロローグ序章とエピローグ終章を含めて10話分以上用意されている。
本題の「山鳴荘事件」は、連続ドラマと呼ばれる1つの劇をいくつかの話に分けて、続けてやることを一話ごとに区切って展開される。
プロローグの序章は走る列車「オリオン急行」で、タケルと呼ばれた青年の持っていたアイドルのグッズが盗まれたことから始まる。
■軽快コントを会話に入れるキャラクターたち
ミステリー研究会の学生たちは、おとなしくぼんやりとしているが行動はまじめ。妹を大事にしている主人公の赤沢独歩(あかざわ どっぽ)。
そのクラスメイトで性格はお調子者に明るく、女の子が大好きの井沢幸太郎(いざわ こうたろう)。
お金持ち総合商社の御曹司、言葉はていねいだが態度は大きい東野 陽炎(とおの かげろう)。
数々の難事件を考察したことでミステリーサラブレッドというあだ名を持ち、事件をいいかげんな推測では決めない、常識な論理で真実を明らかにする南条有栖(なんじょう ありす)。
基本キャラクターは4人のミステリー研究会を中心に会話は進めていく。
キャラクターの個性は日常にあるもので特別に強いというわけではないが、幸太郎の女好き、陽炎の態度は大きく目立つが名探偵としてはへっぽこ。アリスのするどい観察眼と家庭の父親が警視総監で、学んだ警察の専門知識はあるけれど、融通がきかない堅い人、といった感じにミステリー研究会の幸太郎、陽炎、アリスの3人はわかりやすく目立つ。
主人公の独歩は、特殊設定の「過去視」という能力を置いとけばいたって存在が薄い人の形にあつかわれる。独歩を除いた3人の個性が強いのだ。
お笑い芸人がやるような面白いコントの寸劇は、女の子大好きである幸太郎とお金持ちで態度は大きく出る陽炎の2人が行い、その2人の様子を見て頭を悩ませるアリス。
この状況をたびたび会話に入れてくるため、面白いコントになっているのだ。日常にあるものだが、見てて飽き無い心がはずむように軽く感じる笑いの劇を。コントの寸劇に関して、主人公の独歩は聞き入れる形に入るが、プレイヤーが行なう選択肢によっては面白い内容に入ることもある。
登場した人物はミステリー研究会だけでなく、ほかにも居る。その人物も面白いコントを会話に入れてくるので、こちらも見逃せない。
■「過去に行くしかない!」過去視を使って真相を解明する
今作のゲーム「ミステリーの歩き方」は、主人公・赤沢独歩が持っている「過去視(かこし)※」と呼ばれる特殊設定の能力が登場します。
※注釈 読み方は作中ではひらがなの「かこし」と言っていたが、キャラクター設定資料集によると別の読み方は(サイコメトリー)。
この「過去視」は、紫のオーラをまとった誰かの思念に触れると過去の光景を視ることができる。過去の光景は「解像度の低い世界」となって、ドット絵に表示されるもの。
解像度の低い世界でプレイヤーは、ゲームの役割で「移動」と「調べる」のコマンドを操作していく。
「移動」と「調べる」のコマンドを使って、手がかりとなる重要な物、あるいは人物の証言などを入手すること。手がかりを入手したら過去の光景を視ることは終わり、現在に戻っていく。
現在に戻ってきたら、手づまりになっていた推理、事件で関係ある人の尋問に過去の光景で視た手かがりの物や証言の話をすることで、真相を解明するのだ。
ただし「過去視」で視た光景を主人公の独歩はそのまま口にしゃべることはない。自分の妹、以外は誰かに言えない秘密にしてる。
そのため、過去の重要な手がかりは遠回しに誘い、真相を導くことになる。
言葉を直接言わない誘導の尋問は、意外と「ミステリーの歩き方」で難しいことに感じた。
主人公の独歩が「過去に行くしかない!」、そう口に連呼して「過去視」を繰り返した事件の真相暴きは、プレイヤーが胸をすくほど気持ちいい状態になる。
面白いコントであり、過去視を使った事件の真相暴きが「ミステリーの歩き方」の見どころと言っていいだろう。
■「ミステリーの歩き方」良かったところ
ミステリーの歩き方でよかったところを4つの数字に分けてまとめました。
その1「過去」に行くときと、事件の真相を解明するときに勝利のBGM音楽が流れる
ゲーム「ミステリーの歩き方」は、過去視で紫のオーラが現れる瞬間。ミステリー研究会のメンバーと一緒に事件のクライマックスに近づいた瞬間で勝利のBGMが流れます。
勝利のBGMは心がはずむリズムに乗ってプレイヤーを楽しませてくれる明るい曲。身軽ですばやく走る感じを背景に、プレイヤーと主人公の独歩は手に入れた手かがり、証言をすべて働かせて事件の真相を明らかにする。「その時間が、いちばん面白い。」
その2フルボイスでキャラクターはよく喋る、よく動く表情。完全再現された美しい背景を深く楽しめる
Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)に配信されたゲームニュースで、
事前に任天堂から実力派人気声優のフルボイスによる掛け合いと美麗な背景が世界観を演出します。と書かれていました。まさしくその通りに、キャラクターたちは声を出してしゃべる。顔の表情もよく動きます。
だましの紙芝居ではない、TVアニメを見ている感じでした。
背景は鳴美沢が避暑地で自然な森林のリゾート行楽を美しく表現されて、スッと鳴美沢の世界観に入れるような美術ある楽しみが感じられます。
「ミステリーの歩き方」に時間帯の機能はありませんが、イベントで朝、昼、夕方と夜の時間によって反射する光の色合いが変わります。背景の美術を担当したスタッフさんの入れ込みはありました。
背景の場所に行く鳴美沢は、別荘、喫茶店、テニスコート、個人のアトリエ、美術館ギャラリー、商店街の通り、不動産会社が住む自宅は豪華な屋敷、ハルニレ木々のテラスモール、湖や樹木のカフェなどあって豊富です。
その3セーブとロードがある
ゲーム「ミステリーの歩き方」には、セーブとロードの機能があります。
フルボイスでしゃべるキャラクターに、推理物は途中で疲れますよね?。そんな時はセーブして中断することができます。仕事の合い間に遊んでいる時や急に呼ばれたときでも、プレイ途中のデータを記録しておけるのは嬉しいです。
その4履歴のバックログと巻き戻し機能
ゲーム「ミステリーの歩き方」は、一回見た文章のメッセージを履歴で再び見返すことができます。巻き戻しは、一回見たこの場面を再び見ることが可能です。
巻き戻しで気になる選択肢の会話を一回戻ってから見る。話題のティップスで話題の文章を集めたい時間には便利だと思いました。
注意したいのは、巻き戻し機能は推理、尋問、過去視のイベントには巻き戻しを使うことはできません。
この巻き戻しは、ゲームのバランスを考えていますね。
その3とその4はゲームソフト環境設定の話。時代が進んでいる西暦2024年時点で当たり前になりますが。
■「ミステリーの歩き方」惜しかったところ
30年前に起きた「山鳴荘事件」の真相について詳しい内容は明かしませんが、ミステリーの歩き方で惜しかったところを2つ言います。
ひとつ目:「俺たちの戦いはこれからだ!」
第一弾の本題は、30年前の鳴美沢で「ある風景画家」が何者かによって刺された事件の真相を解明することです。しかし、山鳴荘事件とは違う別のある話も作中で語られます。
ただし、かばって守ることを言えば、そのある話は30年前に起きた「山鳴荘事件」とは違う別の話です。
「山鳴荘事件」に関しては、鳴美沢編とも言うべき「ミステリーの歩き方」第一弾で終わっていました。1つのゲームソフトだけでも本題で扱う事件の真相を明らかにする楽しみを持たせています。
・メッセージの文章は読むけど、フルボイスのゲームが苦手な人。