ついこないだ
首相官邸で
てえのが
始まったって
ニュースを耳にしてから
もう2年以上が
経過しちまったんだね〜
そのあいだに
人生100年時代
って言葉も耳慣れた
昨今ではございますが・・
「どうもこんちわ~、ご隠居さんいますかー?」
「おぉ、八五郎か。どうしたんだ? そんな慌てた顔をして」
「ついこないだ安倍将軍のお膝元で『人生100年時代ナントカ会議』てぇのが開かれたと聞いておったまげやした!」
「あぁ、そりゃあ〜人生100年時代コウソウ会議だ。織田信長は『人間(じんかん)50年、下天(げてん)の内を比ぶれば、夢まぼろしの如くなり』と言ったそうだが、リンダ・グラットン教授の分析によると、2007年に生まれた日本人の半分は107歳まで生きるそうだな」
「リンダ先生ッ! それは困りやんす・・」
「何に困ったんだ? ハチ公らしくないぞ」
「あっしは『宵越しのゼニは持たねえ』という、ロンドンビジネススクールでも注目されている最新の金融テクノロジーに基づいた極めて高尚な哲学を実践しておりまして・・」
「無茶苦茶だな! そんなのはテクノロジーでも哲学でもねえし、世界中どこからも誰からもまったく注目されてねえぞ!!」
「大工の仕事で稼いだゼニはその日に飲んで使い切っちまってるんですが、、もし100年も生きたら、ご隠居みたいに死にかけたクソジジイになった後の年数が長いじゃないですか?」
「確かにハチ公みてぇに毎日毎日ゼニを使い切っていたら、仕事やめた後の生活が不安だろうな〜。えっ、死にかけたクソジジイだって? もう勝手にそのへんで野垂れ死んでろ!」
「あーごめんなさいごめんなさい! じゃあ物知りのご隠居さんに1つお聞きします。どうしたらこの不安はなくなるんですか?」
「そりゃあたしは物知りだから、何でも答えるよ。・・まずはだな、お前がいつまで今みてぇに元気いっぱいに仕事したいか決めることだな」
「あっしはでえく(大工)の仕事が好きだから身体が動くうちは元気いっぱいに働きてぇけど、、親方は『60代からは身体が言うこと聞かねえ』って仕事減らしてるっすねぇ・・」
「そうか。じゃあ八五郎が宵越しのゼニを持たねえまま、60代まで行って親方と同じ状態になったらどうする?」
「・・すぐに野垂れ死にます」
「ばかやろう。結論がはえーよ! まずは仕事減らしたら収入が減るよな・・」
「そして野垂れ死にます」
「今日だけは先読みが早えな。収入が減ったら支出を減らさなきゃいけなくなるな・・」
「支出を減らしたら食っていけないので、その前に・・・死ぬまで酒を飲みます」
「でも、そのときゃ十分な酒を飲むゼニもねえんじゃねえか?」
「あーッ、そりゃもう死ぬほど困ります! そうだ、あっしに致死量の酒を買うゼニを・・貸してくだせぇ・・・リンダ先生!!」
「お前は時空を越えたサイテーの男だな! そうなっちまう前に、少しは準備できることがあるだろう」
「コツコツと計画的にゼニを貯めて、仕事減らす前にご隠居みたいに長屋でも買えってことっすか?」
「おっ、こいつ急にまともなファイナンシャルプランを考え始めやがったぞ! 八五郎、それどこで学んだんだ?」
「前に、ホトケの国の『ぴけ亭とん馬』てぇ真打ちの『長屋を貸すご隠居 > 必死に働く八五郎、貧富の差は広がり続ける』てぇ講談が江戸のインテリの間で大流行したそうで」
「そりゃあフランスの経済学者『トマ・ピケティ』が著書で語った『r > g』という結論、r(リターン:資本収益率)はg(グロース:所得の伸び率)を上回るてぇ壮大な与太話みてえな歴史的な事実だ。その講談はインテリのあたしも酒呑みながらユーチューブで見たな」
「さすがご隠居さん何でも知ってますね~。それで、なぜか21世紀の江戸に来ちまったあっしはどうしたら『100年も生きちまう不安』を減らせるんっすか?」
「そうだな。入ったゼニを全部使っちまうハチ公は、まず『天引き』という仕組みでコツコツと貯蓄や投資を始める必要があるな」
「あっ親方から天引きとか積立投資とかイデコてえのが良いてぇ話を聞いたことありんす。でもそれさえも面倒てぇ場合はどうすりゃいいっすか?」
「八五郎、ちったぁテメエの頭で考えろ!」
「うーん、あっしみてえに頭が足りない奴はどうすりゃいいんすか?」
「まったく困った奴だなハチ公は・・そういうときゃとりあえずスマホでグーグル先生に聞け!」
「あっしが聞くとグーグル先生はなぜかトボけた答えしかくれないっす。どうしたらいいんすか?」
「はぁ〜。ばかやろう。そんなときゃもう・・リンダおばさんにたかって1万ポンドくらいゼニ借りまくって浴びるほど酒呑んで、、さっさと野垂れ死んで踏み倒しちまえッ!」
「あー、ついにご隠居さんキレちゃった! そりゃもう完全に時空を超えた国際問題に発展する世界史上最低最悪のアドバイスだわ・・・」